北欧フィンランドが対ロシア軍事同盟であるNATO(北大西洋条約機構)へ正式加盟しました。フィンランドとロシアの国境接触距離は約1300km。昨年の2022年5月に加盟申請を発表して以来、NATOによる迅速な手続きが行われてきました。フィンランドの加盟によりNATO構成国の数は31カ国に拡大、ロシア側は即座に対抗措置を発表しNATO東方拡大を非難しています。同じく北欧スウェーデンによるNATO加盟申請に関しては棚上げの状態に陥っています。というのもNATO新規加盟には構成国の全会一致が条件。スウェーデンの参画にNATO加盟国であるトルコとハンガリーが拒絶を表明しました。衝突の背景にはスウェーデンによる両国への内政干渉が指摘されています。トルコ政府は反政府武装組織と掲げるクルド人組織をスウェーデンが支援していることに反発。さらに東欧のハンガリーでもオルバン首相の民族主義的強権体制をスウェーデンが批判していることに非難の声が高まりNATO参画を認めない姿勢を突きつけました。
ロシア側の動きではウクライナ隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領の動きを注視しています。欧州最後の強権指導者と呼ばれるルカシェンコ大統領はロシア依存の国家体制を国民に押し付け、ロシア軍事同盟国として戦術核兵器配備を承認しました。自国の安全保障上ロシアの核配備は必要不可欠と発表。ベラルーシがロシア軍の戦術核兵器配備を認めたことでウクライナ北部戦線暴発の懸念が高まっています。ベラルーシはすでに核弾頭搭載可能ミサイル発射システム『イスカンデル』を配備しており、仮にウクライナ軍がベラルーシ領内で殺害行為を行なった場合、軍事的報復措置に踏み込むことを警告しました。同時に核兵器配備はあくまでロシア管理下にありベラルーシ側に関与権限なしの言い分で核不拡散条約(NPT)違反にあたらないと主張しています。ベラルーシ国境からウクライナ首都キーウまでの距離はわずか約100km、偶発的な衝突によるベラルーシのウクライナ戦争参戦の懸念が高まっています。
さらに中国の動向にも注目が集まっています。習近平国家主席がウクライナ戦争停戦仲介外交を展開。プーチン大統領との共同声明で中国主導による和平交渉の積極的促進と各国の安全保障体制を尊重しながらも欧米各国による内政干渉反対の立場を強調しました。ロシアと中国の連帯が強まる中、アメリカとフランスが中国の停戦仲介を認める声明を発表。ウクライナ戦争を巡る世界各国の軍事外交が急拡大しています。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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