「毛穴」何ともリアルなワードですが、ここ数年、化粧意識の高い女性たちにとって、「何とかしたい」お悩みランキングの上位に君臨し続けています。かつて、3月から4月にかけては、ファンデーションを秋冬用から春夏用に切り替える時期でしたが、今では、ファンデーションはそのままでも、化粧下地から衣替えすることが当たり前になりました。そして、その化粧下地で叶えたいことが、出来れば、「毛穴を無かったことにしたい」という、とんでもない願望です。
毛穴意識?がここまで高くなったのは、デジタル時代の進化する画像に、見たくもない肌の現実をつきつけられることになったことが一番の理由だと思いますが、ヴィーナスプロジェクトが得意とする、属性別オピニオンリーダーたちの「毛穴」本音調査によると、特に40代以降の女性たちは、その対策について「もう塗り込むしかない」か「ハイライト効果で目の錯覚を狙う」という、美容医療に頼る前ギリギリの二つの選択に達していることがわかりました。
ファッションも同様、40代はトレンドも「盛り」から「ベーシック」に移行して、直視したくないボディそのものを何とかしなくてはならない世代。高価な補正下着で無理にでも体形を「作り込む」か、目を引くブランドの小物使いでボディそのものから「目線をはずす」テクニックをマスターするか、やはり、即効性のある二つの選択しか無いという結果が出ました。
ここから、大人女性にとっては、ファッションもビューティーも20代から30代のころとは違って、「目的達成に夢はいらない」という本音が見てとれます。若いころから、美しさのために散々投資してきたからこそ、叶う夢と叶わない夢の見極めがつく。だから、大人の女性たちほど、美しさのためなら「上手な嘘」も必要だと達観しているのではないでしょうか。さらに、大人女性として公私ともに「至近距離で勝負する機会」が確実に増えてきたのも「上手な嘘」が必要とされる理由なのだと思います。
「大人の女性」とカテゴリーされることで女性としての現役感は40代から50代以上にも広がりました。化粧品業界では、いよいよ売上シェア50%を超えてきた50代マーケットの競争に拍車がかかるのにも納得です。そんな中、某大手化粧品メーカーから、ファッション誌で育ったオシャレに敏感な50代女性の美に対するモチベーションの調査を依頼されました。
仕事や趣味、家族との関係、ライフスタイルの側面からもいろいろ調査しましたが、「今さら恋愛沙汰のために綺麗になろうとは思はない」50代のオピニオンリーダーたちのインタビューで出た発言に注目。その言葉の裏に「でも、いざというときに最低限OKの自分でいたい」という、決して表立っては言わない、隠された女性の本音を読み取ることが出来ました。20代はJJ ,30代はVERY, 40代はSTORY誌でトップ読者モデルだった彼女たちの女性としての現役感の延長が今後も大人女性のビューティーマーケットを引っ張っていくことは間違いありません。
同世代の男性たちが、加齢を受け入れながら淋しい気持ちになる中、実際はシニアでありながらも、漠然と幅のある俗称、「大人の女性」と呼ばれるカテゴリーに属して、大人ならではの「上手な嘘」をつきながらエイジングさえ楽しんでいく大人女性たち。そのプロセスを追いかけていけば、現役にこだわる女性たちが望む、新しい商品開発のヒントが手に入れられるのです。
中村浩子なかむらひろこ
株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長
大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…
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