取材する子どもたちとメッセージのやりとりをしていると、あることに気づかされます。それは、文字ではなく絵やイラスト、写真を多用すること。
たとえば「今からハンバーガーを食べに行くよ」というメッセージだったら、「ハンバーガー」の絵と「GO!」を表現するスタンプ(感情や行動などを表すイラスト、LINEで使われる)を組み合わせるのです。
メッセージを受け取った私のスマホ画面では「GO!」を表すスタンプ、たとえばウサギのキャラクターがジャンプして、今にも歩き出しそうなイラストが表示されます。
ハンバーガーの絵と、動きのあるウサギのイラストから、「ああ、向こうはハンバーガーを食べに行くんだな」というのが読み取れるわけです。
こんなふうに子どもたちは、文字ではなく視覚的なコミュニケーションを得意とします。絵、イラスト、写真、動画などを用いてビジュアル的に見せる、伝えるという方法です。
こうした傾向は、ネット上だけのものではありません。たとえば歴史の勉強。私たちおとなが子どもだった頃は、教科書の文章にラインマーカーを引いたり、年表を暗記するという方法で勉強しました。
一方、いまどきの子どもは「マンガで読む日本の歴史」とか、「アニメ世界の歴史ものがたり」などと、そもそも「絵」で勉強することが多いのです。
「文章で書かれていると内容が頭に入らない、でもマンガだとすぐわかる」、そんなふうに話す子どもは少なくありません。
もちろん、マンガやアニメという方法でも知識は身につきます。絵で覚える、イラストで理解するという「勉強」があってもいいでしょう。
ただ、ビジュアルに頼るあまり、「文章を読む、書く、理解する」という能力がどうなってしまうのか、そんな懸念も覚えています。
もともとネット上では、ホームページ⇒ブログ⇒ツイッター⇒LINE、こんな流れで個人の発信が行われています。
10年位前まで主流だったホームページでは、公的に発信するための文章力が求められていました。そのため、文章も長々と綴られていたのです。
やがてブログが主流になると、個人の日記的な感じで、文章も軽く、短めになっていきます。
5年ほど前から広まったツイッターでは、140字以内という制限の中で発信します。こうなると文章の起承転結などは必要なく、いわゆる「つぶやき」程度で事足りてしまいます。
さらに、現在では文章どころか文字さえあまり使わず、絵やイラスト、動画などで伝えることが増えています。
かわいいスタンプや、おもしろい写真を使ってのコミュニケーションには楽しさもありますが、子どもたちには視覚的な方法に頼るだけでなく、「文章」に触れてほしいと思います。
石川結貴いしかわゆうき
ジャーナリスト
家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに、多数の話題作を発表している。 出版のみならず、専門家コメンテーターとしてのテレビ出演、全国各…
教育|人気記事 TOP5
子どもは「ヨイショ」で伸びる!
清水克彦のコラム 「頭のいい子が育つ親の習慣」
言いたいことが言えない場合、ロールプレイで練習すると体で覚え…
親野智可等のコラム 「本当に子どもを伸ばす大人とは?」
『すっぱいブドウ効果』により、叱られたことはやる気がなくなる
親野智可等のコラム 「本当に子どもを伸ばす大人とは?」
講演・セミナーの
ご相談は無料です。
業界21年、実績3万件の中で蓄積してきた
講演会のノウハウを丁寧にご案内いたします。
趣旨・目的、聴講対象者、希望講師や
講師のイメージなど、
お決まりの範囲で構いませんので、
お気軽にご連絡ください。