AI/生成AI関連の技術革新の速度の速さについてはこれまでも度々取り上げてきていますが、年明け早々に飛び込んできた「DeepSeek」のニュースには驚きました。
ご存じの方も多いと思いますが、「DeepSeek」は今年の1月20日に中国のベンチャー企業が発表した生成AIです。ChatGPTなどの北米企業が開発している最先端の生成AIと同等の精度を持つ生成AIを、数十分の1のコストで開発したと報じられたのです。
これを受けて真っ先に反応したのが株式市場です。生成AIを開発するためには膨大な演算が必要になるため、1ボード500万円もする最先端のGPUが数万枚〜数十万枚も必要とされてきました。そのため、資金力のある米国企業しか最先端の生成AIを開発することはできないとされていたのです。
そのGPUを独占的に供給していたのがNvidiaで、Nvidiaの株価は一昨年以降上がり続け、昨年には時価総額で世界一の座にまで上り詰めていたのです。それが、GPUにそれほど頼らなくてもAIの開発ができるという連想から、Nvidiaの株は大暴落し、その他のAI関連企業の株価も下落しました。これがDeepSeekショックです。
しかし、落ち着いてください。DeepSeekの精度はChatGPTなどと同等か、少し低いレベルと発表されており、生成AIの精度が革新的に上がったという話ではありません。驚きなのは、そのAIの開発にかかったコストの低さであり、それによって引き起こされた株安に皆が大騒ぎをしているというのが今の状況です。
DeepSeekの技術的な詳細にはまだ不明な点も多く、精度に関してもこれから世界中で検証されることでしょう。現時点では、「発表通りの精度」という意見や「思ったほど精度は高くない」という意見が混在しています。開発コストの算出方法にも疑問が呈されるなど、評価が安定するにはもう少し時間がかかりそうです。今は慌てて大騒ぎせず、まずは落ち着いて成り行きを見守るのが良さそうです。
もちろん、低コストで生成AIを開発できるということになれば、それは大きな成果です。その場合にはAIの民主化が進み、さらなる進化が期待できます。これまで参入をあきらめていた日本企業も参入してくるかも知れません。AI全体にとっては、非常に良いことなのです。
大越章司おおこししょうじ
株式会社アプライド・マーケティング 代表取締役
外資系/国産、ハードウェア/ソフトウェアと、幅広い業種/技術分野で営業/マーケティングを経験。現在は独立してIT企業のマーケティングをお手伝いしています。 様々な業種/技術を経験しているため、IT技…
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