偉そうに言っても、講師も人の子。父もいれば母もいる。
そして、たぶん、かなりの影響をわたしは母から受けている。
かつて小学校の先生だった母のところに、よく教え子たちが遊びに来た。当時、大学生くらいのメンバーが、小学校の時の母との思い出話をしてくれたけれど、当時小学生だったわたしは、不思議な感じがした。ただ、こうして「いつまでも人が訪ねてきてくれるっていいな」と子供心に感じたのだけは覚えている。
中学生、高校生の頃には、本当に怖い母だった。勉強嫌いのわたしは、ことごとく母を怒らせた。「なぜ、できないの?お母さんは、体育以外、みんな5だったのに」と。
そんなこと言われても、できない理由なんて分からない。わたしの通知表なんて、ほとんど5段階評価で3か2。勉強のことをぎゃあ、ぎゃあ言う母が、ただただうっとうしかった。
母を尊敬するようになったのは、「うるさいだけが母じゃない」と分かった時からだった。父親のところで働いていた人が勤務中に大事故を起こした。母は、一人で事故に巻き込んだ人すべてに頭を下げに行った。
又ある時、受験に失敗した弟が家出した。その時は、「わたしが探さないで誰が探すの」と、弟の写真を持って、競馬場から大阪のミナミを探しまわって見つけ出した。弟は、今でも見つけ出してくれた母に感謝している。
子供を産んでからは、母の気持ちが分かるようになった。
確かに勉強だけがすべてじゃない。でも、やっぱり勉強もわたし生活も気になる。わたしも、いつのまにか、かつての母と同じように娘に口うるさくなっている。しかも、娘は、母親がして欲しくないことをする。夜遅く帰ったり、宿題もせずに遊びに行ったり。そのたびにイライラしてしまう。母もこんな気持ちで怒ったんだろうなあ、と今なら分かる。
5年前、父が事故を起こして要介護5になった。その時も、「心配しなくても、わたしが介護する」と、父が昨年亡くなるまで一人で父の介護をした。それだけでなく、看護師さんや介護士さんの相談相手にもなり、「ほんま、ちゃんと見舞いに来ない家族に限って、現場の人に偉そうに言う」と、怒っていた。
父が亡くなって、のんびりしているのかと思ったら、今度は、孫たちの子守りに、周囲の人に頼られて、「ほんま、忙しいわ」とごきげん。
「何がそんなに忙しいの?」と、聞くと、
「桜も見に行かなければならないし、〇○に御飯を食べに行く約束もあるし」
ほとんど、遊ぶことやん!と、ツッコミたくなった。
久しぶりに母が東京の我が家に来た。
「前の日にタケノコもらったから」と、奈良から東京までタケノコを持ってきて、料理を始めたのだ。「外食よりこっちがええわ」って。
言いたいことを言って、人の面倒を見て、いつまでも楽しく明るく生きている。
そんな母を最近結構、尊敬している。
大谷由里子おおたにゆりこ
(有)志縁塾 代表取締役
故横山やすしさんのマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし、一時は“伝説のマネージャー”として騒がれた大谷由里子氏。その後もベンチャー企業の社長やフリーのプロデューサーとし…
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