桜の華やかな季節から若葉の美しい季節になりました。
桜も若葉も、その美しさは、冬の間厳しい風雪に耐えながら自分の咲く時期を信じて力を育んで来た結果のように思います。それができたのは、大地にしっかりと根をはり揺るぐことなくそびえ立つ大きな幹があったから。その幹に安心して身をゆだね努力を重ねながらそれぞれの季節を待つことができたからこそ清らかな美しさを醸しだすことができるのではないでしょうか。
人もまた同じ。大地にしっかり根を張った幹となる心の居場所が大切になります。
生きていくことはたやすいことではありません。人生にはあらゆる試練が待っています。辛いことも悲しいこともたくさんあります。
どうもがいても駄目な時、優しく声をかけてくれる人、だまって温かく見守りながら寄り添ってくれる人、本気で叱ってくれる人が傍にいたら、どんなに救われるか知れません。
大人も子どもも心の拠り所とするものは、どんな時でも自分をしっかり受け止めてくれる人がいる場所ではないでしょうか。愛と温もりに満ちた場所には、力強い花が咲きます。
物質的に豊かになった今、それに支えられている人間がそれを失った時、生き続けるために必要なものは、強い精神と、希望そして何よりも人を愛する心、そして愛してもらえる人がいる場所だと思います。古いことわざに、「家というのは心のある場所」といっていたことを思い出します。
形だけの家庭や、血のつながりでなく、互いに理解し合い、互いの幸せを考え、どんな時も手を繋いで支え合っていける人がいる場所が”家”であり、それが”心の居場所”ではないでしょうか。
幸せの基準は、人それぞれですが、それぞれ自分自身が心地良いと思える居場所を見つけた時、社会はもっと優しく穏やかになるような気がします。
子どもの問題行動は、病める社会の反射鏡といっても過言ではありません。
厳罰は、何の解決にもなりません。子どもの問題行動に眉をひそめるだけでなく、何より肝心なことは、彼らがなぜそのような行為に訴えたのかということを吟味し、子どもたちの心の暗闇からの声に耳を傾けることこそが重要な鍵になります。その子どもの中に、心の居場所となるような場所をつくってあげることが大切です。
社会が、大人が、今それに気づかなければ、子どもの問題行動は、今後も増え続けるように思います。
様々な境遇の中で、どこにも行き場のない子どもたちが、今なお数多く存在しています。そうした子どもたちを周りがどう援助し支えていくかが、とても重要になります。
一人一人が、一人の人間として大切にされて生きられる社会になったなら、お年よりや子どもの笑顔がもっと多くなるでしょう。そうなるために、私も微力ながら、この問題に今後も取り組んでいきたいと思っています。
最後に、どんな時も傍にいてくれる人、それはあたりまえではなく掛け替えのない人、この世で、無償の愛ほど尊く素晴らしいものはありません。どうぞ、感謝を忘れずに大切になさって下さいね。
次回は、家族についてお伝えします。
春日美奈子かすがみなこ
フリージャーナリスト
國學院大學大学院法律研究科法律学専攻修士課程修了。報道畑25年の経験を生かし、少年院や教護院(現・児童自立支援施設)での実習を通し、常に現場の”今”や”生の声”を大切にして、少年問題に取り組んでいる。
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