ここ最近、日本では食育という言葉に注目が集まっている。食生活を見直すことで子供たちの健康をまかなっていく。世界食料危機と呼ばれる21世紀、食事のテーマは最重要課題の一つでといえる。
世界中の食生活、食文化はいかなるものなのだろう。日本とはどこがどのように違うものなのか、世界の子供たちの食卓事情を報告する。
まずはインド。インドと言えばカレー、ここまではイメージすることができる。驚かされたのは子供たちが暗闇の屋外で地面に座わりバナナの葉っぱに盛られたカレーを食していたことであった。もちろん指先で器用にカレーをすくいおいしそうにカレーをほおばっている。ここでは裕福な方々が両親を失った子供たちに食事の提供をおこなっていた。子供たちの目が爛々と輝いていることが印象深かった。
インドの隣国、パキスタンではピラウと呼ばれるパキスタン式チャーハンをやはり地面に座って手で食していた。インドと違ったのは、ここはイスラム教徒の国、食事をする前にお祈りを済ませて、男性と女性が別々な部屋で食事をとっていたこと。イスラム教の法律で豚肉を決して食べてはならないことも特徴的であった。
アフリカ西部のガーナではヤシの実をつぶして絞り出したやし油を使い、豆のシチューを作りすすっていた。アフリカの森の中では子供たちは自分たちが食料を種まきの段階から育て、収穫し、調理をする。両親の手伝いをすることで生き抜く為の食料確保の方法を学んでいた。
アフリカ東部の位置するスーダン。ここは現在もダルフール紛争という戦闘が続いており、子供たちは砂漠の中に作られた避難民キャンプ地の中で1日に2度配給される食料で空腹を満たしていた。ファインダーの前に現れた男の子は空腹のあまり、トウモロコシを生のままでかぶりついていた。ここは過酷な食料危機に直面していた。
長い間紛争が続いたレバノン。難民キャンプで生活する子供たちは、世界中から救援物資として集められ支給される食料、水を口にする。夏の間は日中の気温が38度まで上昇し、限られた飲料水タンクの前に子供たちが殺到して、水道の蛇口から漏れる水で、乾いた喉を潤していた。
いまだ戦争状態が続いているイラクでは、ある家族と生活をともにした。一つ屋根の下、一致団結して食料を確保していた。その日のメニューはご飯をトマトスープで煮込んだものと、インゲン豆の炒め物、ハーブの葉っぱとパンだけであった。それでも家族みなで食事をできることに皆喜びを感じていた。
世界各国、日本とは生活風習も文化も異なるが共通していたのは家族皆で食事をとることを大切にしていたことである。食育は世界共通の教育方針である。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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