最近、友人に薦められて読んだとある短編小説があります。それに登場する主人公達はまさに今の私にどんぴしゃの”アラサー世代”の女性であり、それぞれの悩みや葛藤を抱えながらも日々前向きに、逞しく、どこか健気に奮闘する姿が描かれていたものでした。読み進めながら、その主人公達の心の声(時に毒づいたりも!)がすぐそこで聞こえているかのように身近に感じられ、それがまた実に痛快で、感化されやすい私は、「おおっ!そうだ!!そうこなくっちゃ。」などとやたら共感を覚えてしまいました。
周りを見渡せば、ああ、よかった。私の知っているアラサー世代は、みんな揃って小説の主人公になれるぐらい前向きな女性ばかり。でもその明るく振る舞う表情の裏に抱える問題は、実はシリアス。結婚、出産、離婚、転職、婦人病、周囲からの結婚への、または子づくりへのプレッシャー、etc.・・・、そんな問題が30歳を手前にしてなんだか一気に押し寄せてきて、それが数年間続いていくのですからもがくはずです。悩める乙女です。
まるで自分に言い聞かせているような語り口になりますが、私は企業での講演会に呼ばれる時、女性社員が聴講者の中にいると、「武田さんはこれからどんな女性になっていきたいですか?」という質問を受けることがあります。講演の内容自体は、オリンピックでの経験を元に仕事や人生で活かせるキーワードをお伝えしているのですが、やはり女性。仕事と自分の人生を考える上で、「女性として」という視点が浮かぶのでしょう。どう自分の人生を満足できるものにしていくか。私も迷いながら、でもチャンスは逃さないように、今出来る事を前向きに取り組んでいます。
そして、私はアラサーと呼ばれる時期をとことん”本来の自分探し”に費やそうと思っています。二十代の若々しい頃の自分は先のことを考えずに突き進むことができたし、失敗してもなんとなく許されたし、それらのことが無意識のうちに脳裏にインプットされいよいよアラサー世代に突入した瞬間に「あれ?こんなはずでは?」とか「私の居場所が若い後輩に取られてしまう?」と、昔の自分がどうしても輝いて見えてしまいます。だから焦燥感や空虚感を持ってしまう。でもきっとこの輝いていると思っている時期は、自分をよく見せたいという意識で頭が凝り固まっていて、とにかく必死で自分を作って、精神的には疲れていたような気がしています。
今、私なりに取り組んでいることは、世代交代にともなって無理に可愛く振る舞う必要性がなくなる分、素の自分を出して、「素の自分でも社会とうまくやれるじゃないか!」という実績を残していくことです。「焦っているんだ」という自分では認めたくない気持ちも今は普通に口に出していい、とも思っていますます。素を出すことをどんどん試して、それで返ってくる反応を楽しみながら、ゆったりと構えて日々を送ろうと心に整理をつけています。そうするうちにいつの間にか自分の居場所はきちんとあって、案外、周囲もその落ち着いてきた様子を見てくれていて、いよいよ「これからの人生で何にプライオリティを置くことが一番自分は幸せを感じるのか?」と本来あるべき自分の姿や生活がわかってくるのではないでしょうか。
結局、世代に関わらず何歳になっても人間は人生をいつも決断しながら、悪あがきしながら、活路を見出していくものなのだと思うので、特に悩める時期だと言われるアラサー世代の皆さん。悩みましょう!そして、飾らなくていい自分をみつけましょう!一緒に頑張りましょう!
武田美保たけだみほ
アテネ五輪 シンクロナイズドスイミング 銀メダリスト
アテネ五輪で、立花美哉さんとのデュエットで銀メダルを獲得。また、2001年の世界選手権では金メダルを獲得し、世界の頂点に。オリンピック三大会連続出場し、5つのメダルを獲得。夏季五輪において日本女子歴代…
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