「何を言っているの、サチは友達が多いじゃない。スポーツだって何でもできるし!」
私の人生を変えてくれた友人のひと言です。
それは「三菱商事」を退社してすぐのこと。資格もないし、英語もダメだし、私に誇れるものは何もないし。会社の肩書きを失ったとき、こんなに不安な気持ちになるとは思ってもいませんでした。そんなネガティブな心境を仲の良い友人にぶつけると、彼女は笑顔で励ましてくれたのです。
「えっ!友達が多いことなんて特技にもならないじゃない」とその場は笑い飛ばすしかなかったのですが、人脈の広さは確かに自慢。それが今後の仕事で役に立つかなという話から「丸の内のOLを集めたネットワークを作ってみようよ」と盛り上がり、ひらめいたのが「丸の内OL研究所」。まさかその後、本当に1000人規模のOLのネットワークを立ち上げるとは考えもせず、人が大好きという私の個性を活かしてとにかく前に進んでみよう! と妙にワクワクしてしまったのです。
さらに数日後、私を励ましてくれた彼女が、面白がって「ねえ、これどう?」とあるものをプレゼントしてくれました。それは「丸の内OL研究所 末木佐知」という名刺。デザインは真紫に白抜きという、それはそれは斬新なものでした。一瞬のけぞりつつも、その名刺を持ってあちこちのパーティーに顔を出してみると、幸いなことにマスコミの方の目にとまり「どんな事ができるの?」と、突然、仕事の依頼がきてしまったのです。一枚の名刺がご縁で転機が訪れることもあるなんて。自分が知らない特技に気づく、それも自分磨きの方法のひとつなんだと実感した瞬間でした。
あの時、友人のひと言がなかったら、退社後の自分は何をしていたかわかりません。だから今では、人より体力があるとか、食べるのが早いとか、普通なら特技や得意なことと思わないことでも、磨き上げれば立派な個性になり、才能になると私は信じています。そしてもっとその個性を磨き上げ、自分のブランドにして社会と接点を持ってみてはどうかな? とも思うのです。
先日「農業に興味があるんです」というアナウンサーの方に出会いました。人や自然に優しい生活を心がけている彼女は興味深い”ロハス”の話をあれこれ教えてくれました。彼女がステキだなと思ったのは、そのライフスタイルを仕事抜きで心から楽しんでいること。自分磨きをするために、何をしたらいいの?と、なかなか決められない人も多いと思いますが、 “友達がやっているから”とか”無難だから”といった理由で習い事を始めたりしていませんか? それよりもっと抽象的に、犬が好きでも、チーズの味がよくわかるでも、世間や型にとらわれない自分磨きで個性を発見した方がずっと価値があるのではないでしょうか。
気づく→やる→極める」ことで、転機は自然にやってくるもの。特別な技能にこだわる必要はないのですよね。だって、せっかく資格を取得しても、セミナーに通っても、何だか自信を失うばかり……こんなことってありませんか?
そういう自分自身を見失っているときは、一度あなたをよく知っている友人に「私の特技って何だと思う?」と他人の意見を聞いてみるといいかも知れません。それでもよくわからない時は、以下のクエスチョンに直感で、現在の仕事や立場とらわれないで、思い付いたことをどんどん書いてみてください。
Q:今、興味があることは何ですか?
(音楽、映画、ファッション、ショッピング など)
Q:小さい時に得意だったことは何ですか?
(絵がうまかった、音楽が得意だった、人より足が速かった・・・など)
Q:小さい時になりたかったことは何ですか?
(作曲家、アイドル、お嫁さん、お花屋さん・・・など)
Q:お金を気にしないで思いっきりやってみたいことはありますか?
(海外旅行三昧、ボランティア、家を買う・・・など)
Q:今の自分が一番やりたいことは何ですか?
(MBAの勉強、ダイエット、ピアノの習い直し・・・など)
あえて、質問は過去の記憶にさかのぼったり、同じような内容の質問を違う形でたずねています。少しでも自分の潜在意識の中が見えてきたような気がしませんか?これまで全く苦手だったことに挑戦してみるのも面白いもの。
私だったらお裁縫かな? 中学校の家庭科で洋服を作った時は、ときめきのカケラも感じないほど苦痛だったけれど。だから、あえてお裁縫を習ったら面白いかな? と思ったり。質問の答えが、あなたにとっての輝く個性(自分ブランド)を見つけるちょっとしたお手伝いになればうれしいです。かつての私のように、会社を辞めたとき”自分は誇れるものが何もない”なんて、ぼやいてしまわないように……。
次回は「コミュニケーションの仕方」をお話しします。
末木佐知すえきさち
こどもみらい塾 代表
学習院女子短大卒業後、三菱商事に入社。在職中に人脈を広げ、退社後に一流企業OL500人以上をとりまとめ「丸の内OL研究所」を設立。女性のネットワークを構築する。自らも結婚・離婚・起業・高齢出産、未婚マ…
モチベーション|人気記事 TOP5
どうやって効率化すればいいの?その手順、考え方
川村透のコラム 「組織改革ノート」
人が動くしくみその2―WEB上でバッチをもらう評価システム
川村透のコラム 「組織改革ノート」
毎日がついている私になるために
末木佐知のコラム 「モチベーションを上げる 未来設計発想法」
講演・セミナーの
ご相談は無料です。
業界21年、実績3万件の中で蓄積してきた
講演会のノウハウを丁寧にご案内いたします。
趣旨・目的、聴講対象者、希望講師や
講師のイメージなど、
お決まりの範囲で構いませんので、
お気軽にご連絡ください。