子育てをするようになってから、私の朝は”ほめ言葉”で始まる日が増えました。
「今日も残さず食べたね。」「一人で出来たの? 頑張ったね。」娘にそう声をかけると、うれしそうに朝の支度にとりかかります。
私が母として自分に課しているのは、一日のスタートはまず子どもをほめてあげること。その裏には、バタバタと慌しい時間帯だからこそ気持ちよく朝を迎えたいという思いもあるのですが、これが娘はもちろん、仕事の現場でもいい結果を生み出しているのです。
まっさきに実感したのは”ほめ”の相乗効果でした。私はお世辞はうまく言えませんが、美しい人に会えば「キレイですね」とか「とてもスタイルがいい」などと感じたことをすぐに口に出してしまうクセがあるようです。服装でも性格でもいいなと思った瞬間に言葉のスイッチが入ってしまうわけですが、このとき、素敵な女性であるほど、「まあうれしいわ。末木さんこそ、とてもお似合いのスカーフをしていらっしゃって素敵です」などと、思いがけず”ほめ言葉”のお返しがくるのです。うーん、誰でもほめられるってやっぱりうれしいものですよね。言われてみると、これがなかなか新鮮で、私は”ほめ言葉”をいただくたびに、ファッションやメイクに一層力をそそぐようになりました。
この原動力は、ビジネスでも同じでは? と思うのです。
仕事ができる上司ほど、ほめることを上手に利用して、部下のヤル気を引き出しているように感じます。もちろん、それが”できる上司”の第一条件ではありませんが、私の知る限り、叱られ続けて成績が伸びた人や、罵声を浴びせられることでチームの士気が高まったという話を一度も聞いたことがありません。むしろ、人から見ればささやかなことでも評価してあげられる上司こそ、素晴らしいリーダーと呼べるのではないでしょうか。
3年前に知り合った「夢」と「ご縁」をつなぐ会社を経営していた島田守さんは、まさにそういう方でした。社内の誰よりマメに働く彼は「ストレスとかないのかな?」と不思議に感じてしまうほどの性格のいい方。怒った姿を見たことがないし、人の悪口を聞いたこともありません。何よりも相手の立場に立って考える。これを一番に実践している人です。
そんな島田さんからいただくメールには、必ず「感謝します」とか「ありがとう」という言葉が書いてあります。また書き出しには「お楽しみ様です」とあるのですが、その意味を聞いたところ、以前から、仕事の挨拶やメールで「お疲れ様です」と言うのが否定的な言葉で気になっていたそうです。
おかげ様で、島田さんからのメールは、業務連絡でも嬉しい気持ちにさせてくれます。それだけでなく、実際に打ち合わせなどでお会いしても「その案はいいですね」といつでも肯定から入ります。そして、まず相手の意見を尊重してから「こうした方がいいんじゃない?」と提案してきます。ときには一喝したくなるようなこともあるはずなのに、いつも口に出すのは、怒りの感情より喜びの感情が先。その心配りに魅せられたところで、これが容易にできることではないなと気づきました。
人間の言動はそう簡単に変えられるものではありません。でも、なるべく否定的な言葉を使わないとか、相手のいいところに目を向けるとか。意識をかえると行動はみるみるプラスに作用するものですよね。自分に自信をつけたいと思ったら、まずは周囲の人をどんどんほめることをオススメします。私自身、そうすることで、自然と周りに人が集まってきたように感じているからです。
みなさんも、ちょっとだけ昨日のことを思い出してみてください。誰と会って、どんな言葉をかけましたか? そこには”ほめるキーワード”がいくつ入っていましたか? 私はやってみてわかりました。親しい相手ほど「あなたのココが素敵」と口に出せないものなんですよね。だからこそ、訓練は必要です。
ほめることから遠ざかっていると、相手を引き立てる言葉すら想像できないということにもなりかねません。さて、上司に、後輩に、友人に。最初は照れるかもしれませんが、ほめ言葉をどんどん口に出してみてください。あなたの周りにもきっといい変化が訪れることと思います。
次回は「毎日がツイている私になるために」をお話しします。
末木佐知すえきさち
こどもみらい塾 代表
学習院女子短大卒業後、三菱商事に入社。在職中に人脈を広げ、退社後に一流企業OL500人以上をとりまとめ「丸の内OL研究所」を設立。女性のネットワークを構築する。自らも結婚・離婚・起業・高齢出産、未婚マ…
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