プロ野球のドラフト会議。今年は人材が豊富で、私もどの球団がどの選手を指名するのか、いつになく注目していました。ドラフトではこうして毎年色んなドラマが生まれるわけですが、今回私はそれ以上に面白いと思っているのが各球団の新『監督』です。野球の戦術的なことや専門技術のことは詳しくわかりませんが、とにかくセ・リーグの監督が全員40代になるなんてすごい若返りだと感じます。パ・リーグだって、一番年上が楽天の梨田監督63歳で、ほとんどが50代、そして40代が一人いらっしゃる。これまでの野球界の印象から言えばやはり若い印象です。中でも巨人の高橋由伸新監督。年齢も私の一つ上の同世代であり、選手としての道を今回の打診によって、いわば幕を引いて監督として挑戦していくという経緯にとても関心があります。悩まれたことでしょう。そして若干40歳で歴史ある読売巨人軍の指揮官になり、どのようにチームマネジメントをしていくのか、本当に興味があります。
チームマネジメント・・・。私も今、難しさを感じています。1ヶ月半前、予期せぬ出来事が起こりました。その出来事は喜ばしいことではあったのですが、まず頭をよぎったのが時間の調整をどうしていけばいいのかということでした。私の担当しているシンクロの選手が11歳~15歳が対象年齢の国際大会に選抜されたのです。そして、私自身もその遠征へ派遣されることになりました。そして遠征へ向けての強化合宿の日程を、私と同様に派遣される他のコーチの方と打ち合わせをして決めていくのですが、これまでの同じ遠征で日本はメダルを獲って帰ってくるのが当たり前だったので、これを踏まえて選手を仕上げなければなりません。従って練習量の確保は当然になってくるのですが、しかし派遣予算のことも考えて予算内におさめるバランスの取れた計画が必要になってきます。何といっても指導計画が綿密に練られていないと限られた時間の中で成果を挙げていくことができません。もちろん今までも地元のクラブで指導をしてきた訳ですが、今回の場合は選抜されてから派遣までがおよそ2カ月間で、しかもびったり2カ月練習に使えるわけではないという期限付き。選手もそれぞれが距離の遠い地方のクラブの所属なので合宿以外に合同で練習することが難しい状況。私も不安とやってやろうという思いが入り混じったそんな心境でいます。
この遠征についてだけでも前述のように考えることはまだまだあります。しかし私がそれよりももっと気になっているのが、地元のクラブのチームマネジメントのことです。私も遠征のための合宿でクラブの練習日に不在になることが多くなり、選手達がほぼ自主練習のような形になっています。「2カ月ほど不在がちになるけども、練習に〝今日は必ずこの課題を克服する“などの目的意識を持って臨んでほしい。練習環境はいいとは言えないけど、なんとか技術の低下を食い止めるように、1回ずつの練習を大切に。」という話をしましたが、中学、高校生の年頃で自分の意志で徹底的に自分を追い込め、なんてとても難しい注文です。当の本人の私も当時出来ていたとは言えませんでしたから・・・。そして悪条件は重なるのですが、深い水深のプールがちょうど改修工事でこの期間中丸々使えないという最悪な環境。浅いプールで練習頻度も落ち、留守を預かってもらう若手のコーチとも指導方針についてコミュニケーション不足で、選手からいよいよ不安の声が。チームマネジメントが上手く行っていない証拠です。5月初旬の日本選手権出場を念頭にトレーニング計画を設定していたのですが、その場合、この時期は基礎体力の向上と基本技術の見直しと向上、このように技術力を上げて、来シーズンに向けて一つレベルアップしたプログラム作りに着手するのが私の理想とするところであったのですが、遠征が無事終わるまで、両立は難しく地元の選手達に対してじっくりと取り組むことはそれ以降になると認識しています。今できることは、他のコーチとの連携を密に図ることと、選手にモチベーションを下げず、あと1ヶ月少しを乗り切ってもらうよう今一度練習内容に対する意味と取り組み方を確認すること、そして帰国の際には圧縮した練習計画の練り直しの下すぐに取り掛かることだと考えています。
何だか自分のやるべきことの確認をしているような形になってしまいましたが、難しいとはいえ本当に遣り甲斐があることをさせてもらっていることに有難さを感じます。また、この取り組みの結果、しかも良い結果を得られたというご報告ができるよう頑張りたいと思っています。
武田美保たけだみほ
アテネ五輪 シンクロナイズドスイミング 銀メダリスト
アテネ五輪で、立花美哉さんとのデュエットで銀メダルを獲得。また、2001年の世界選手権では金メダルを獲得し、世界の頂点に。オリンピック三大会連続出場し、5つのメダルを獲得。夏季五輪において日本女子歴代…
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