世界中でイスラム過激派組織によるテロ活動が連鎖しています。フランス・パリでの同時多発テロ、アメリカでのイスラム思想に影響を受けた人物による銃乱射事件、エジプトでは過激派によるロシア民間航空機爆破事件、中東レバノンでは宗派争いによる襲撃事件、中東のイスラム国を名乗る地域では、日本人だけでなくアメリカ、フランス、クロアチア、中国、ロシアなど世界中の国籍の方々が命を奪われました。こうした過激派組織が世界中で台頭している背景には貧困、宗教、人種差別、生活格差などが絡み合い、彼らの存在は世界が抱えている問題の象徴であるとも言われています。そして各国でイスラム教徒というだけで差別感情をもたれてしまう構図が浸透してきています。
世界中のイスラム教の国々を回ってみると、イスラム教とは本来寛容な思想基盤をもつ宗教であることがわかってきます。そして世界中のイスラム教徒の方々は、イスラム国のような過激派に対しては、誰もイスラム教徒として、その存在や活動の支持というものを認めていません。過激派の存在はイスラム教の名前を利用したテロリストという位置づけが定まっています。様々な事件を受け、世界中のイスラム教徒が怒りに震え、悲しみにくれているのが現状です。
日本も含め、世界各国にはイスラム合同礼拝所であるモスクと呼ばれるものが存在しています。仏教でいう寺院のような位置にあり、モスクでは国籍民族を問わずにイスラム教を学ぶ環境が整えられています。毎週金曜日には地域のイスラム教徒が集まり、礼拝を繰り返す。モスクでのこうした光景は世界共通のもので、そこでは貧困や差別に苦しむ人たちの支援も行われている。世界に様々な宗教が存在していますが、イスラム教徒の人口が宗派にわけた場合のキリスト教徒の数を上回り、世界最大の人口をもつ宗教となってきています。歴史や風土、慣習によってイスラム教を引き込みやすい地域が世界には多く、それによって救われてきた方々がいることもまた事実であります。相手のことを一つだけでも知ってみることで、イメージや偏見というものを柔らかくすることができるのかもしれません。世界中のイスラム教を利用した少数のテロリストによって、大多数のイスラム教徒に無意識の圧力がかけられる。この構図に仕立てることが、過激派組織の狙いでもあります。宗教という概念には世界規模での情報や技術共有が不可欠になってきています。2015年はテロリストという存在が誰しもに突きつけられた一年であったといえます。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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