【今月の経済講師】
島田 晴雄/千葉商科大学 学長
慶應義塾大学大学院修了後、アメリカ合衆国ウィンコンシン大学で博士号取得。以後、MIT(マサセッチュー工科大学)、フランスESSCE(経済経営グランゼコール)の客員教授を歴任。OECD(経済協力開発機構)やILO(国際労働機関)のアドヴァイザーを務めるなど、わが国有数の知米派そして国際派エコノミスト。
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「景気回復の展望と新しいメガトレンド、新たなビジネスの可能性」
昨年秋のリーマンショックに端を発した世界金融危機、そしてそれが引き金となった世界同時大不況もようやく各国で底打ちの気配がみえてきています。今年の暮れ頃にはその傾向がより明確に見えてくるでしょう。
半年先を読むという株価も緩やかに上昇基調にありますが、しかし、本格的な回復になるまでには、ヨーロッパの金融不安や日本の雇用情勢の悪化が所得と消費を抑えて景気回復を支えきれないという下ぶれリスクもまだ何度か想定していた方が良さそうです。
来年からは世界各国で景気回復基調が定着してくると思われますが、しかし、景気回復は大変緩やかで好況とも不況ともつかない状況が長期化すると思われます。その最大の理由は、過剰消費だったアメリカが構造調整を迫られるからです。アメリカは、第二次大戦後、長い間、基軸通貨国の立場を欲しいままにしてきました。1970年代初頭までは、ドルの金兌換制という強固な基盤がありましたが、その後、変動為替制のやや不安定な制度に移行しつつも過大な消費体質で世界の景気を支えてきました。しかし、2008年の大金融危機以降、アメリカ経済自身の立て直しのためにそうした余裕がなくなり、消費を抑制せざるを得なくなるからです。
しかし、一方ではこれまでの時代とは異なり、新しい成長を支えるメガトレンドが台頭しつつあります。これまでの経済をリードしてきた自動車、電子機器産業などの大規模な大量生産の産業に変わり、これからは、人口の変化、環境の劣化、新たなエネルギー源の開発というメガトレンドが新たな産業の発展の呼び水になると思われます。すなわち、高齢化社会が強く求める健康サービス産業、また、世界の人口爆発を支えるための新たな食料産業や水資源の開発、地球環境の劣化を防ぐ環境技術の産業、また、石油に代わる太陽光発電や電池や電気自動車そして超伝導技術などが次第にリーディング産業になると予想されます。日本は、これらの分野で優れた技術を持っており、その技術をいかにマーケットの機会に結びつけるかがこれからのビジネスの狙い目になると思われます。
こうした展望のもとで景気の見通し、下ぶれリスクの分析、人口・環境・エネルギーなどのメガトレンドに基づく新しい産業発展の可能性などについてより詳しい分析と情報を講演会でお話できればと思います。
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