今月、講演の仕事で岐阜県養老町に行かせていただきました。
養老町は、親思いの樵が、山奥の谷の泉から酒となった水を瓢箪で汲んできて、老父に飲ませ喜びあったという昔話の舞台となった「養老の滝」で有名な場所でもあります。
私は到着してすぐ、関係者の方から「家族”絆”」愛の詩 と題された二冊の詩集を頂きました。これは、「家族の愛」をテーマに、全国からの応募作品の中から選考された詩を掲載したもので、今年で9年目を迎えています。
中を開いてみると、全国から送られた家族を思う愛情に満ちた温かい心がぎっしり詰め込まれた作品が掲載されていました。
そして、本のあとがきには、
「養老町には、滝の水がお酒になったという物語、孝子伝説が昔から語り継がれており、その尊い思いは、家族の絆や他人への思いやりそして、感謝の心として町民の心に息づいています。この孝子伝説の尊い心を受けて、”お年寄りが豊かに暮らせる町”を町民憲章に掲げ、”親と子が心豊かにふれ合うふるさと養老”を目指しています。」と書かれてありました。
私がお伝えしたい大切な”人”としての心のあり方を、しっかり理解され実践されている町であり、地域全体で人を大切にしながら日常生活をおくっています。 私は、初めての地でありながら、ふっと心が温かくなったのを覚えています。
社会が希薄になり、自己中心的な人間が増える中、大人も子どもも地域全体で人を大切にし、愛を育む姿勢は、とても素晴らしいことです。人を育むことが薄くなってきた今、この町の取り組みは大変貴重なことであり、また他の地域の方々にも是非参考にしていただきたい姿勢のように思います。
子どもの教育は、家庭・学校そして地域の連携が非常に大切になります。子どもがこれから社会人として営む力となる社会力は、他者との相互行為がとても大切になります。その一番の場所が、まず家庭です。そして学校や、子どもにとっての生活圏となる地域社会になります。地域には、多くの人が住む家があり、幼児もいれば、お年寄りも、そこで働く人や、店があり、駅や、川、山など様々の人や物があります。そこで、子どもは、様々な人に出会い、多くの人の中で様々な体験をし、その経験を通して人としての掟や心を学びます。
教育とは、机上のものばかりではありません。子どもの傍にいる大人たちの心のあり方、生き様それら全てが、尊い教えになります。まず大人自身が、人との和と思いやりの心を持ち、子どもに対して、しっかりと向き合い、子どもの仕掛けてくる様々な行為にしっかりと応えることが重要になります。それは、家庭の中だけでなく、子どもの生活領域に住む地域住民が皆で、地域の子どもを地域で育て支えるという意識をもつことは、こどもの社会力と豊かな心を育むうえでこれから益々考えていかなければならない課題のように思います。
地域の連帯感が強まれば、子どもの社会力は高まります。今回ご紹介させていただいた養老町のように、町全体で、人や子どもたちを支え育てるという取り組みは、教育崩壊といわれている現代社会においてとても貴重であり、これからこういった取り組みをしていく地域の増加を願ってやみません。
春日美奈子かすがみなこ
フリージャーナリスト
國學院大學大学院法律研究科法律学専攻修士課程修了。報道畑25年の経験を生かし、少年院や教護院(現・児童自立支援施設)での実習を通し、常に現場の”今”や”生の声”を大切にして、少年問題に取り組んでいる。
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