さて、今回はこの「女性の時代」の本丸ともいえる
ファッションマーケットに触れてみたい。
「あのユニクロがジル・サンダーとコラボした」と聞いたとき、
それは驚いた関係者が多かったのではないか?
ご存知ない方のために記しておくが、
ジル・サンダーといえば高級ブランド中の高級ブランド、
ジャケット1着で数十万円する。
憧れている女性も多く、私の知人などは
他のものは何も買えなくともジルを買うという。
そんなマニアまで存在するのである。
実際にはジル・サンダーがユニクロとコンサルティング契約をした、
というのが正しい情報であって、
ブランドがユニクロに取り込まれたわけではないようだが。
しかし恐ろしいのは「ジル・サンダーのジャケットが1万円台で買える」
との意識が消費者の深層に刻まれていくことである。
そしてブランドもののスタンダードな価格帯が
ユニクロ価格になっていくことである。
中小零細企業がコストダウンを実行するには限界がある。
これでは大企業の一人勝ちになってしまう可能性が高い。
そしてファッション業界もデフレスパイラルに飲み込まれていく。
しかし…
実は私はファッション業界において、そうは悲観していない。
何故ならオシャレな女性ほど
「他人と同じものを着るのがいや」
というアイデンティティを持っているからである。
大量生産商品の人気が上がれば上がるほど、
消費者の核である女性たちは
「ユニクロではないもの」
を探し始めるに違いない。
そしてそれは、大量生産ファッションではない。
アパレル関連で働く皆さん、
ぜひ勇気を持って
新しいファッション文化を創っていってもらいたい。
ちなみに…
ファイナルファンタジーXIというオンラインゲームは、
戦闘のための優秀な装備を揃えていくことがひとつのタスクになっているが、
そこまでできないゲーマーたちは
そこそこの性能を持つ
「ユニクロ装備で我慢する」
ことになる。
相沢正人あいざわまさと
キラー・コンテンツメーカー
1957年東京都生まれ。 成城大学文芸学部芸術学科卒業後、(株)光文社に入社。「茶髪」「公園デビュー」「シロガネーゼ」など生活する街に根ざした数々のヒット企画をネーミングと共に展開。同時にモデル発掘…