■目的と目標
「あなたの今月の営業目標は何ですか?」
こう問われて皆さんはどうお答になりますか?
「売上目標○○○万円、新規のお客様獲得数は○○○人です」などと、わりとすんなりとお答えになるのではないでしょうか。
では、「あなたが仕事をする目的は、何ですか?」「あなたの会社の目的は何ですか?」という質問にはどうお答になりますか?
「うーん・・・」と考えこんでしまう人も少なくないのではないでしょうか。
HIS時代、営業マンの育成を行う時、このような問いかけを行い、常に目的と目標を明確にするように努めていました。
なぜなら、何のために会社があり、その中で働く一人一人は、何のために働くのかをクリアーにすることが組織と人が前に進むための大きな力になると確信していたからです。
ここで、目的と目標をハッキリ区別しておきましょう。案外、この2つを混同して使っている人も多いようです。
「目的」とは-追い求め続ける究極のゴール
「目標」とは-目的という究極のゴールに近づくための通過点
■企業の目的
それではまず、「企業の目的」から考えてみましょう。企業の目的は、経営理念などにまとめられることが多いですね。言葉こそ違えど、多くの企業が目的とするのは、お客様や社会に貢献することにより企業としても継続的に発展し、働く人とその家族、そして企業にかかわりのある人(ステークホルダー)を物心ともに幸せにすることではないでしょうか。
つまり、(1)お客様、(2)会社、(3)働く人(+関わりのある人)の全てが幸せになることが、多くの企業の目的となっているのではないかと私は考えます。
■個人の人生の目的とは
では、「個人の目的」はどうでしょうか?つき詰めて考えると「人生の目的とは、幸せになること。」になるのではないかと考えます。
多様化する現代、幸せのあり方は様々だと思います。ある人は、経済的な成功が幸せであると感じたり、また、ある人は、仕事のやりがいや達成感・充実感が幸せの大きな尺度となったり、またある人は、人のためになるということが幸せにおける重要なファクターであるなど、価値観は様々だといえます。いずれにしても、生きている限り人は誰もが幸せになりたいと願うものではないでしょうか。
■出来る営業マンの条件
私は、出来る営業マンの大切な条件の一つとして、「目的をもって目標設定し行動すること」を挙げます。営業マンとして素晴らしい人は、何のために営業するのかという目的がはっきりしています。そして、そのためにどのように目標を設定し行動していくかが明確になっているのです。彼らのメンタリティの共通要素として以下のことがあげられます。
[1]自分の人生の幸せを追求したい。(個人目的の追求)
[2]お客様を幸せにしたい。そして会社に貢献し自分自身も物心ともに幸せになりたい。
(会社の目的の追求)
[3]自分の人生を幸せに豊かにするために、会社で働く時間も目標をたて充実させたい。
(個人の目標の設定と行動)
[4]会社の目的を追求するために自分の果たすべき目標を明確にし行動したい。
(会社目標と個人目標を融合させる)
現在、営業がうまくいかない方は、上記の1~4のどこかが欠けていたり、明確になっていないのではないでしょうか。出来る営業マンのメンタリティの中に営業を伸ばすヒントがあるので参考にしてみて下さい。
■「目標中心型」から「目的中心型」へ
目的を理解せずに、ただ単に数値の目標を追い続けることには、限界があります。お客様に喜んでいただくという本質(目的)を忘れ、単に数字だけを追い求めることになるとお客様は必ず離れていきます。数値の目標を明確にし行動することは重要ですが、目標の向こう側にある目的を意識して進まなければ迷子になってしまう恐れがあるということです。
「なんのために行なっているのか」という目的を中心に据えて営業をすると、どんな状況になっても判断する基準が明確になります。つまり、迷わずに進むべき道を歩んでいけるのでエネルギッシュな行動が生れまるということです。
皆さんも日々、忙しく営業の戦線で力を尽くしていらっしゃることでしょうが、時には目的と目標を明確にする時間をもうけてみることをお薦めします。
今年も残り3か月をきりました。
今年中に達成したい目標を再度確認し、大きな目的のために進んでいきましょう。
只松 崇ただまつたかし
ビッグ・フィールド・マネージメント株式会社取締役
24歳の時、チラシ配りのバイトとして株式会社HISへ入社。同社の持つベンチャー精神に大いに共鳴し15年間勤務。途中、妻の脳腫瘍が発覚し専業主夫として看病・育児に1年間専念。妻の完治後、ビッグフィールド…
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