戦争が続くアフガニスタンの学校はどうなっているのか。
首都カブール郊外にある中学校にお邪魔した。学校の正門には小さな扉があるだけで、学校の名前を記した看板もない。よくよく注視するとそこは校舎でもなんでもなく、ごく普通の民家であった。戦争で疲弊したこの国では多数の学校が破壊されている。その代替教室として一般家屋を政府が生徒たちのために借り入れているということだった。
教室をのぞいてみた。すると子供たちは、以前この家屋でお手洗いとして使われていた部屋の中にすし詰め状態で床に座り込んで教科書を読んでいる。小さな窓から差し込むわずかな光のもと、先生の言葉を書き取っている。足下にはお手洗いとして使われていた水場が残っており、その縁に腰をかけながら教科書を読む子供もいる。
さらに隣の教室は車のガレージとして使われていた場所であり、鉄のシャッターがさびた状態で半分開いていた。ここでも子供たちは床に座り込んで、先生の話を聞く。机や椅子は不足しており、教科書を持たない子供も多い。一冊の教科書を数人で読む姿も目立った。学校のカリキュラムは算数や国語、歴史と日本の学校とかわらなかったが、唯一イスラム教学という宗教の授業があることが特徴であった。
子供たちに将来の夢を聞いた。すると大部分の子供たちが医者になりたいという。その理由も明白で、戦争で被害を受けた家族や友人たちを助けるため、疲弊したアフガニスタンのために働きたいという。あどけない笑顔を浮かべながらもその志は強い。
戦争で肉親を亡くしたアフガニスタンの子供たちにとって、勉強で未来を切り開いていくことが、唯一残された希望なのであった。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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