今回は、ストレス解消法として「森林セラピー」をご紹介します。
「森林セラピー」は日本ではあまり聞き慣れない言葉ですが、ヨーロッパでは長い歴史を持つ伝統のある健康予防対策です。
森林セラピーは青々と茂った森の中での散策やエクササイズ、アロマテラピー、健康的な食事を楽しむことで心身ともにリフレッシュするというストレス解消法です。森林セラピーが生まれたドイツでは、3年に1回、最大3週間の休暇をとって森林で保養するという制度があり、その保養に健康保険が適用されます。日本では2004年に森林セラピー研究会が発足され、森林が人体に及ぼす効果が科学的に実証されています。国民の健康増進や、豊かな森づくりのために現在、全国に38箇所(2009年6月現在)の「森林セラピー基地」と「セラピ-ロード」が認定され、認定されたセラピー基地・ロードでは具体的にヒトの身体に様々な効果が実証されています。
(※参考:特定非営利活動法人 森林セラピーソサイエティHP http://www.fo-society.jp/)
人類の誕生からずいぶん長い間、人間は森の中で生活をしてきました。現代の人工的な環境での生活は本来の人間の生活とは違い、人間に大変なストレスを与えます。森林セラピーはこのような環境からのストレスを改善するという点からも大きな効果を持っており、人々のこころを癒すといわれています。
こころに癒しを与える「森の力」を受け入れる方法として、最も基本的なやり方は「五感」を働かせることです。森の中で耳や目、鼻、手足、味覚等の五感のアンテナを研ぎ澄ませて木々の息吹や風のざわめきを感じ、その中でいちばん自分に合ったリラックス法を探してみましょう。
●「聴く」
一見静かな森の中でも、木立の葉が風に揺れる音や小鳥のさえずり、水の流れる音などが絶え間なく響き続けています。ささやかなこれらの音を聞くことによって、人間の体では血圧の低下や脳活動の鎮静化などの効果が起こることがわかっています。
●「触る」
手のひらや足の裏で木の葉や木の幹に直接触れてみましょう。人工的な素材ではなく、自然由来のものに触れることで、よりくつろいだ感覚や心地よさを感じることができます。
●「見る」
森の風景を見ることで体が受けるリラックス効果はとても大きなものです。ただ森の緑を眺めるだけでも血圧の低下や脳活動が鎮静化するなどの作用をもたらします。
●「香る」
香りが脳に働きかける作用は直接的で大きなものです。特徴的なスギやヒバといった木の香りは血圧や脳の活動を鎮静化させ、怒りや緊張などを緩和させる効果があります。
●「味わう」
森林は山菜の宝庫です。森林セラピー認定基地の中には、木の実やキノコ、湧き水などを味わうことのできる森があります。新鮮で力強い大地の滋味を口にすることで、こころの充足感はもちろん、体にもよい効能を得ることができます。
これから新緑の季節を迎えますが、みなさんも「森林セラピー」で新しいストレス解消法を身につけてはいかがでしょうか。
さて、1年間に渡りコラムを担当させていただきましたが今回が最終回です。
またみなさんにお会いできることをお祈りして、コラムを終了させていただきます。
ありがとうございました。
キティこうぞう
キティこうぞうきてぃこうぞう
職場のメンタルケアコーチ
1964年、名古屋生まれ。名古屋大学経済学部経営学科にて、「産業組織心理学」、「マーケティング心理学」を専攻。1987年に卒業後、株式会社名鉄百貨店入社。子供服売場、法人外商を担当し、顧客心理学を実践…
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