日本の小・中学校ではお昼に学校で給食をいただくことが普通の光景、家に帰れば両親がご飯を作ってくれる。日常で食べる物がないということはない。
世界の子供たちはどうだろう。
アフリカ、ガーナにある小・中学校にお邪魔した。ここの学校には日本のような給食というシステムはなかった。
ガーナの子供たちは元気いっぱい、笑顔いっぱい、小さな赤ちゃんを背負って学校に通ってきている女の子までいる。もともとこの地域には学校そのものがほとんどなく、国際支援で建設された新しい校舎が森の中に作られていた。
この学校にはお昼の時間になると学校の外からパン屋さんが頭にパンを詰めた大きな箱を運んでくる。さらにケーキ屋さんまでもやってくる。売り子さんはかごをお菓子箱に改造した自転車に乗って学校内を練り歩く。ただ子供たちのほとんどはおこずかいを持っておらず、ケーキ屋さんを取り囲んでお菓子を眺めているだけであった。
給食はない、パンを買うこともできない、それゆえ子供たちは午前中の授業が終わると、一度自宅に戻る。戻ると行っても学校のすぐ脇に住んでいる子供たちがほとんどで、学校と家庭の敷居もない。学校と自宅が同じ敷地内にあるような状況である。
自宅で子供たちはお昼ごはんとして米と豆を一緒に炊き込んだものを食べていた。そこには肉や魚のおかずはないが、森からとれる野菜がたくさん盛り込まれていた。家でのお昼ご飯をすませると、再び学校に戻っていく。
かつてガーナの子供たちのほとんどは学校に通うことができなかった。現在は、国際支援で次々と完成する学校へ、森に住む子供たちは通うことができる。子供たちは両親の家事手伝いをすることが小さい頃からの大切な仕事であり、鞄や教科書をもって学校に通うということは、夢のまた夢であった。学校でのお昼ごはん、売り子さんのパンやお菓子を食べることはなかなかできないが、学校に通い、友達と一緒に勉強することが楽しくて仕方がないと子供たちは満面の笑みで答えてくれる。子供たちにとって給食はなくとも友達と勉強が大きな喜びであった。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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