「うちの子はやる気がなくて困る。もっと自分から進んでやる気を持ってもらいたい」「もっと自主的にやる気になってほしい」こういう親の声をたくさん聞きます。でも、ここには、はっきり言って大きな勘違いがあるのです。もともと、どの子にもやる気はあるのです。それが、親の価値観に合わないというだけのことなのです。
例えば、ある子は絵を描くのが好きでいつも描いています。そこには、すばらしい自主性とやる気があるのです。でも、親がやって欲しいのは勉強や親が選んだ習い事や家の仕事などです。ですから、絵を一生懸命描いているのを見ても「自主性がある。やる気がある」とは思わないのです。そればかりか、「絵なんか描いてないで、○○しなさい」と叱って、その子のせっかくのやる気を台無しにしているのです。そして、子どもが嫌々でも親の望みに合ったことをやっているのを見ると、「やる気が出てきた」と考えます。
このようなことを繰り返していると、子どもの本当のやる気や自主性はどんどん損なわれていきます。それは、生きるエネルギーを損なうことでもあるのです。子どものころから、本当にやりたいことをやれないで親が求めることだけをやっていると、その子はどうなるでしょう?
生きる喜びも感じられませんし、自分でやりたいことをやる真の自主性も育ちません。大人になって誰も指示してくれなくなったとき、何をしたらいいか分からないということになってしまうのです。ですから、大事なのは、子ども自身がやりたいことをどんどんやらせてやることです。そこに自主性とやる気を認め、大いにほめて支援してやることです。
親野智可等おやのちから
教育評論家
教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOK』などベストセラー多数。人気…
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