新年度を迎えてから1カ月余りが過ぎました。私は新入社員向けの研修目的の講演などを行うこともあるのですが、新人社員の皆さんにとっては、もしかしたらこの1カ月は期待に胸を膨らませて臨んだものの「こんなはずでは…」や「思っていたことと違う…」のという失望感や屈辱感を味わうこともあったかもしれません。それだけにより一層、重く、真剣に自分と向き合う時期になろうかと思います。
5月病などといわれる時期が迫っていますが、この時期にちゃんと自分を見失わず、見つめ、目標に向かって進めるように、今回は、不安を取り除く方法を私の経験を元にお話したいと思います。
さて、今も昔も変わらず、私自身が、いわゆる何か漠然とした不安を持つような心理状態になったとき、具体的にどのように乗り切っていくかと言いますと、とにかく、自分の憂鬱の原因をしっかりと分析します。「何に苛立ちや不安を感じているのか?」「どういうことに不満を持っているのか?」から始まり、不満、苛立ち、不安の理由を具体的に挙げていきます。
その後、より掘り下げて解決策を考えていくのです。ここで大事なのは、とにかくポジティブなこともネガティブなこともありとあらゆることを挙げていくこと。自分との対話ですから嘘をつく必要もありませんし、正直に良いことも悪いことも考えればいいんです。
でもそうやって考えていくうちに、いつも私はある結論に辿りつきます。
「自分自らが変わらなければ、人も周りも動いてくれることはない」ということ。
よく、何かの問題や不安を誰かのせいだとか、何かのせいだとか、自分ではどうにもできないもののように考えてしまいがちですが、「具体的に解決策を考えよう」というプロセスを取る時に、人のせいや何かのせいにしても何も解決が進まないことに気づくのです。
だから、何か思うように事が進んでいなかったことがあるとしたら、「今までの自分の動きがいけなかったんだ」と考えるのです。そして、自分の動きを変えていく。その方がよほど建設的だと思いますし、本当に現実を変えるためのアクションやアプローチの方法を探していくことができます。
これはあくまで私の方法ですが、不安というのは漠然としていればいるほど、増すものです。原因をちゃんと理解し受け入れられれば、心の余裕も生まれます。そもそもシンクロの現役選手だった頃は、世界1を目指すという一つの目標に向かう時、技術面やメンタル面や色々なことで不安というのは出てきました。そういった自分の課題や不安に向き合い、一つ一つ自分で考え解決方法をクリアにし、行動できたからこそ、私はいつもパツンパツンの精神状態にならずに前に進むことができたのだと思います。
「今の自分は思うようなポジションについていないが、必ずこのアプローチを繰り返して現状を変えてみせる。変わらなかったらそれはまだ単純に努力が足りないまで」と私はいつも考えていました。
実は、私がこの世で一番怖いものは、「取り残されること」です。少しでも前に進んでいないと怖くなります。人や物のせいにせず、自分で動いて環境を変えていく生き方は、「しんどそうな生き方」と思われるかもしれませんが、自分なりに分析をしたとき、私にとって最もストレスがかからない状態というのが、この生き方。なぜなら、頑張る対象について前向きに努力していることが、前に進むということだし、それが自分の一番心地良い状態だと知っているからです。
あくまで今回、私個人の方法を述べさせて頂きましたが、是非とも皆さん、不安を持っているようであれば、自分と向き合い、しっかりと原因を受け止めて、自分独自のストレスを溜めない思考回路を作ってみて頂ければと思います。
武田美保たけだみほ
アテネ五輪 シンクロナイズドスイミング 銀メダリスト
アテネ五輪で、立花美哉さんとのデュエットで銀メダルを獲得。また、2001年の世界選手権では金メダルを獲得し、世界の頂点に。オリンピック三大会連続出場し、5つのメダルを獲得。夏季五輪において日本女子歴代…
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