テロ攻撃が世界中に拡散しています。ヨーロッパではイギリス・フランス・ドイツ・ベルギー。中東ではイラク・シリア・エジプト・トルコ。アジアではバングラデシュ・フィリピン・タイ・インドネシア・・・。最近のテロ事件を検証すると、各々の攻撃の規模は決して大きいものばかりではなく、犠牲者が少ないこともいままでとは異なる特徴となっています。背景には分裂を余儀なくされる武装組織側が実行犯となるテロリストをお互いに利用し合っている現状が見え隠れてしています。
世界規模で暗躍するテロ組織には、サウジアラビア出身のオサマ・ビン・ラディンがつくりあげた国際テロ組織アルカイダが存在します。現在も反米・反国家を掲げて武装闘争を続けています。このアルカイダから分派し、最後は破門という形で誕生したのが中東を拠点とするイスラム国。IS(イスラミック・ステイト)と呼ばれるこの組織は、過激な攻撃を信条とし、イスラム原理主義の国家樹立を目指してテロを続けています。世界中で過激派と言われる組織や個人はおおよそこの二つのどちらかの流れに組んだ武装闘争を広げています。こうしたテロリストの二大巨頭ともいえる過激派組織は現在、戦闘によって細かく勢力を分断され、お互いの存在価値をアピールできない状況にたたされています。
ここ数年、世界中で起こっているテロ事件の背景には、武装組織側がテロ組織そのものを世界規模で発信していく流れを再構築したいシナリオが見え隠れしています。以前イスラム国が過激な映像をネット配信することによって存在力を高めたように、テロリスト側が自分たちの立ち位置を知らしめるために、まるでテロの広告代理店のような動きを繰り返しています。いかにコストやリスクを少なく、効果的にテロの正当性をアピールできるのか。そこには周到なテロ計画は必要なく、実行犯となる若者たちの行動に便乗して組織の名前を表に出していく手法がシンプルで効果的な方法のようです。世界各国で事件が勃発すると、必ずテロ組織がネット上で犯行声明を出す。このテロ実行宣言こそ、組織が求めるテロのブランド力を高めています。情報を利用してくるテロ組織に対して、発信情報をいかに精査できるのか、個人個人に問われてくる危機管理能力こそがテロ防衛ラインなのかもしれません。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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