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2010年09月01日

いくつも趣味と笑える仲間作りの「多毛作倶楽部」

私実は「あのねのね」でした。と言っても今やだ―れも振り向かず、何のこと?と怪訝な顔をされるのがオチ。でもね、人によっては、ものすごく喜んでくれる人もいるんですよ、ホントの話。私の青春でした、とか、初めて買ったレコードは「赤とんぼの唄」です、とか、深夜放送、いつも聞いていましたよ、とか言ってくれる人もいます。ごく稀ですが…。

「あのねのね」の功績は(そんなものがあるとすればですが)、人生は意外と滑稽である、という側面を歌で表現する世界を開発したことですかね。真面目なものほどちょっと角度を変えて見るだけで、とても可笑しく笑うことができる。そんな狭い斜視の隙間に紛れ込んだことで、あのころの時代にハマッたのでしょう。ナンセンスソングと呼ばれるギャグの歌をしこたま作りましたね。どんなことにも、どんな悲劇的なことにも、きっと笑いの種が隠されていると信じて無理やりに。笑い飛ばすことで自分自身、何度か人生の危機を乗り切れたと、今になって思えばたしかにありましたね、そんなことが。

急激に人気が上昇したら、次に急激に下降するのは当たり前で、芸能界なんてその繰り返し。でもそんな自分の、笑っていられない人生もギャグにする、自虐的な笑いも大好きでした。自分を笑ってもらっているうちは誰も傷つけることがないですからね。

笑いは健康の元。確かにそうですが、誰もが幸せ気分になる、質のいい笑いがいいです。誰かを傷つけてもとにかく笑えばいい、大きな笑い声だけで効果がある、と言われてもちょっと虚しいです。

気の合う友達といる時、楽しさ、嬉しさ、幸せ感と一緒に体の奥底からこみあげてくるような笑い。楽しさ、嬉しさを仲間と共有、共感、共鳴したとき、笑いという表情と声質でその気持ちを伝えあう、これは霊長類特有のコミュニケーション手段なのでしょう。これからの人生では沢山の仲間とそんなふうに笑い合える日々を、できるだけたくさん、できるなら毎日、過ごしたいものです。
毎日笑い合える仲間がいること。それこそが後半人生の、何よりの財産と言えるでしょう。

最近どんなことで笑いましたかね。それはどこで誰と、何をしているときなのかを思い出してみると、自分の財産状況が分かるんじゃないでしょうか。

私は今週、仲間とゴルフしているとき、魚釣りしているとき、バーベキューしているとき、家族と食事しているとき、二歳半の息子国太郎と山道歩いているとき、いずれも腹抱えて笑う爆笑の瞬間がありました。犬も歩けば棒にあたるですね。家の外に出て、ウロウロして、何でも首突っ込んでやってみると、ドッカンドカンと楽しい笑いが発生するようです。

恥を恐れていたり、面倒くさがったり、笑いをこらえたりしていては、至福の時、最高の瞬間を逃してしまいます。笑うと不謹慎、もしくは人格を軽く見られるのではないかとか、笑うと失礼、笑われるのは屈辱、などという思い込みをまず和らげる必要があります。これから新しいことにチャレンジして、上手くできない自分のことをみんなと一緒に笑うことができたら最高でしょう。

そんなパラダイスの出現を目指して、後半人生で一人十色の趣味を楽しむことを目標にした、アクティブシニア対象の「多毛作倶楽部」を立ち上げることにしました。ゴルフや釣り、山登りなんて、と現役時代に何度誘われても頑なに拒んできた人が、毎日が日曜日暮らしに入って時間をもてあまし始めると、やっぱなんか始めなきゃな、と思うのですが、その頃になると今度はもう誰も誘ってくれない。今さらお願いもできずに、どうしたものか悩んでいる、というリタイヤ組が意外と多いようです。そんな趣味生活のスロースターターの背中をちょいと押して、みんなで恥をさらしながら、それを楽しんで笑い合う、いくつも趣味と笑える仲間作りの集まりが「多毛作倶楽部」。どうです?

清水国明

清水国明

清水国明しみずくにあき

タレント

「あのねのね」で一世を風靡。芸能界きってのアウトドア派、スローライフ実践者としても知られ、子ども達の生きる力を育むための自然体験イベント等を積極的に実施している。また自然と共に生きる自身の経験から、シ…

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