「ねぇ、見た?」この夏、私のまわりの40代の女性の間で「美STORY」の誌上読者ヌードが、かなり話題のようです。彼女達の感想は、「家族や子供がいるのに信じられない」か、「あんなスタイルで撮られるなんて信じられない」と、大体大きく2つに分かれるようですが、いずれも「キレイ」とか「ステキ」という言葉は全く聞こえてこないのに、言葉の裏にどこか表立って言えない「うらやましさ」が感じられるのです。
どんなにビューティ業界がアンチエイジングを応援してくれても、40代になると女性としてボディに自信を持てるギリギリいっぱい、決して認めたくないけれど、心のどこかで「今の自分を残しておきたい」と思っている人が沢山いるはずでは?「誌上読者ヌード」は、そんな女心に刺さる企画として成功したということでしょう。
続いて発売された最新号では、元カリスマ主婦モデルの冨田リカさんも48才のヌードを披露。お約束のように「離婚成立」の時期と重なっていて、「コンサバな私より、挑戦する私が好き」といった見出しで、巻頭ページを飾っています。ここでは、50才目前というさらに女性としてのギリギリ感の中で、「まだまだ美しい私は現役よ」というメッセージが伝わってきます。
新聞にも取り上げられましたが、この女性誌の企画は、男性向けのグラビア誌やAVでいうところの「熟女ヌード」とは全く違うもので、登場する40代の女性達は皆、「美STORY」だからという大義名分のもとに「美しい私を残したい」。あくまでもビューティというカテゴリーの中で、同世代の女性に「うらやましい存在」として、見られたい願望を達成しているのです。
エルメスのバッグやハリーウィンストンのダイヤを持っていること、自慢のダンナ様や優秀な子供を持っていることよりも、誌面で披露するのは「私自身の美しさ」。大人の女性としての充実感を、モノではなくヌードで表現するパワーは、同世代の私としても「あっぱれ」という他ありません。
ファッションもビューティも男性の目を意識して競い合った20代から、40代は、同世代の大人の女性の目を意識して切磋琢磨する時代へ。ゆったり美しく年を重ねるというよりも、ギリギリ感、緊張感の中で限界まで美をキープしたいと願う女性の方が旬なのです。
連日の猛暑から、9月もこの暑さが続くようですが、この夏「美STORY」の読者ヌードが刺激となった女性達は、心の中で「私の方がイケてるかも」と思いながら、本格的な秋のビューティシーズンまでに、最先端のボディメンテナンスに走るのは明らかです。
中村浩子なかむらひろこ
株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長
大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…
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