僕は高校2年生の時、ある人から「サイドスルーにしなさい」と言われたことがありました。自分としては桑田真澄さんのようなピッチャーになりたい、と思って上から投げていましたから、初めはすごくイヤだったんです。
でも、言われた通り腕を下げて投げてみると、スライダーがすごく曲がり始めて、シュートも切れるようになった。これは新しい発見でしたし、バッターを打ち取るパターンも増え、ピッチングの楽しさをより感じられるようになりました。
3年生になってオーバーハンドに戻しましたが、サイドにして覚えた変化球の感覚を少しアレンジすれば、上からでも以前よりいいボールを投げることが出来るようになりました。それ以降、自信も増し、より上の世界でやってみたい、という手応えを感じるようにもなりました。
選手であれば、いろんな形で指導者からアドバイスをもらうことがあるでしょう。中にはとんでもない、と感じることもあるかもしれません。でも、一度は言われたことを試してみることがいいと思います。初めは自分に合わないと思っていることの中で、ハッとするようなヒントに出会うこともあるからです。試してみて合わなければ、その時点で止めればいいだけで、そこまでの力もないのに自分の形にこだわりすぎると成長を止めてしまうことにもなりかねません。
何でも聞きすぎることもよくありませんが、一度はだまされたと思ってチャレンジしてみるといいでしょう。
奥村幸治おくむらこうじ
ベースボールスピリッツ代表
イチロー選手が210安打を達成した時に、イチロー選手の専属打撃投手を務めていたことから“イチローの恋人”としてマスコミに紹介され、以来コメントを依頼されてのテレビ出演多数 。 1999年に中学硬式野…
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