【フロー体験とは】
ピーク・エクスペリエンス、至高体験ということを伝えた心理学者がいます。アブラハム・マズローというアメリカの心理学者で、「至高体験」とは、超時間的・超自我的体験とした心理状態を指します。
自分の人生に十分満足していて、自尊心、身体的健康、人間関係などに恵まれている人は、「頻繁に至高体験をしている」といわれています。マズローが数十年前に伝えてから、現在では脳研究により側頭葉の活性化状態と関係があると、科学的裏づけもされています。脳が恍惚状態にあるわけです。
「至高体験」ほどではないけれど、もう少し軽めの状態が「フロー体験」です。何かをしているときに集中できて心地良いため、お金などの代償がなくても十分に満足できるような体験です。M. チクセントミハイ (著) 『フロー体験 喜びの現象学』という本で紹介されました。
フロー体験は、至高体験とよく似ていますが、もっと日常的にあり得る体験で「知覚対象と自分の意識が乖離していないような没頭状態」を言います。例えば、映画を観たり本を読むとき、周囲の音が聞こえなくなったり、時間を忘れたりすることがあります。このような体験は、その中へ入り込んでいて、他への意識がなくなっている状態、つまり没頭状態です。
映画を観たり本を読んだりするのは、お金がもらえるからではありません。逆にお金を払って、その価値があるから行うのです。
仕事でも「フロー体験」を得ている人がいます。有名人では、将棋の羽生善治さんや野球のイチロー選手など、夢中になって自己を超越して、目の前の仕事に取り組んでいます。私たちの周りにも「仕事が楽しい、仕事が好き」と言っている人は、フロー体験を得ているように思います。
【フロー体験で仕事を楽しむ】
では、どうすればフロー体験を得られるのでしょうか。
ポイントは、仕事の内容や目標が、自分の力よりも少し高めであることです。高すぎると「そんなことできない」と不安になり、低すぎると「簡単すぎる」と退屈になります。
少し背伸びした仕事に挑戦して→懸命に取り組む→それができる→楽しさ・達成感を得る→もっとやりたくなる。このサイクルができると仕事をすること自体が楽しくなってきます。さらに金銭的報酬や承認(ほめられたり認められること)があるのですから、良いこと尽くしです。
組織で仕事をする場合、チームのつくり方にもポイントがあります。「働いていて楽しいチーム」をいつも念頭に置くことです。
●目標が明確であること
組織と個人の目標が明確で、これまでよりも「少し高め」を設定する
●承認があること
今週はここまでできた!など達成が確認でき、チームからも認められる
●チャレンジできること
何か新しい要素があったり、自分の力を上回ることができる
●自由があること
進め方・決定権・時間管理など、できるだけ個人に任せる
「楽しい」というのは、無責任・放任・娯楽という意味ではありません。むしろその逆です。
現代はストレス社会だといわれます。精神的に追い詰められることの多い毎日です。私たちはストレス解消といえば休日にするものと考え、ゆっくり休んだり、趣味を楽しんだり、運動したりします。仕事が悪いストレスになっているから解消が必要になるわけで、フロー体験により仕事が楽しくなったら、自分の心身の健康のためにこれほど良いことはありません。
組織のためにも個人のためにも、フロー体験を考えるときが来ているのではないでしょうか。
仕事を最高に楽しくするために、フロー体験!です。
秋田稲美あきたいねみ
一般社団法人ドリームマップ普及協会 理事
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