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みなさま、連載コラム『ウェブマーケティングに強い社員の育て方』の第 3回記事ページにアクセスいただきましてありがとうございます。
主にウェブマーケティングのクライアントワークや講師業を生業としている株式会社イーグッドの榎本晋作と申します。
前回の(『新人のウェブマーケティング担当者は何から勉強すればよいのか?』)に引き続き、今回も「ウェブマーケティングに強い社員の育て方」についてのコラム第三回をお届けしたいと思います。
今回のテーマは、 「社内でベースとなるウェブマーケティングの共通メソッドを作る」 についてです。
*「役立つ内容だけ抽出して読みたい!」という方は、最初にスクロールいただき、見出しだけご覧ください。その上で、必要そうな部分だけ読んでいただくと時間の短縮と最大効果を得ていただけると思います。
「現場で色々な意見が出てまとまらない!」
「いつも、会議で意見がまとまらない」
「転職組みが多くて、各々のやり方を主張しあってる」
「でも、どの意見も今ひとつ決め手にかける」
ウェブマーケティングに限らず、ブランディングやプロモーション、PRなども含め、プロジェクト担当者たちが戦略考案を行う際には、 このように「それぞれの主張」をぶつけあってしまう場面をよくみます。
「Aさんの主張も、Bさんの主張も
正解かどうかはわからないが、一理ある。」
特に意欲があるメンバーが多ければ多いほどそういうことは起きやすいです。
では、このような場合はどうすればよいか?
プロジェクトメンバーが学習意欲旺盛なのは望ましいことである!
このようなケースで、まず前提として抑えておきたいのは、
「プロジェクトメンバーがそれぞれ、意欲高く学習を進めているのは、会社としては望ましいことである」
ということです。
スキルと経験値の有無は別として、「メンバーの積極性」はプロジェクト成功の大きな鍵を握ります。
「”メンバー(さらに言うとプロジェクトマネージャー)の積極性“が勝負の9割を決める」と言っても過言ではないくらい大切なものと私は思っています。
その積極性はチームでは、絶対に大事にしていきたいところ。
ただ、ここで問題になるのは、
・Aさんの意見が採用された際にBさん他のやる気が落ちてしまう。
・Aさんの施策が実行された結果、うまくいかない時に「ほら、見たことか。」というムードが密かに生まれる。
・そのようなことが起こらないように調和を選んだ結果、当たり障りのない施策になってしまった。
のようなケースです。
プロジェクト成功のためには、このような事態は絶対に避けたいところ。
具体策→「社内で共通言語(メソッド)を持っておく」
「では、具体的にどうすればよいか?」
答えは、至極シンプルで、表題の通り 「社内でベースとなるウェブマーケティングの共通メソッドを作る」 という方法です。
つまり、社内もしくはプロジェクトメンバーで共通認識として 特定のフレームワークや方法論をもっておくことということです。
プロジェクトメンバーで共通のメソッドを持つことで、 「施策に困った時」や「意見が散った時」などに「帰るべきメソッド」ができ、 現場での意見はまとまりやすくなります。
*コラムのテーマがウェブマーケティングですので、ウェブマーケティングと書いていますが、それよりも大きな枠でも重要になります。
社内の共通言語(メソッド)はどうやって作るか?
「では、共通言語(メソッド)作りはどうすればいいのだろうか?」
と、お思いの方も多いのではないでしょうか。
これには、主に3つ方法があると私は考えています。
1.社内で使っている独自のフレームワークがないかを確認する
2.プロジェクトマネージャーが作る
3.体系的にまとまっている書籍を使う
まずは、1の「社内で使っている独自のフレームワークがないかを確認する」についてです。
これは密かに多い話なのですが、「他の部署で使っているフレームワークが共有されていない。」という場合があったりします。
担当者が部署移動してしまって、共有されていなかったなどのケースは特に注意!
あとで見つかるケースが一番もったいないので、ぜひ確認しておいてください。
また、2の「プロジェクトマネージャーが作る」についてですが、 こちらは、プロジェクトをリードするマネージャーが過去に行っていたプロジェクトの経験値から自力で作成する方法です。
プロジェクトマネージャーが「人に教える面倒見のよい人」のケースでは、機能しやすい方法です。
そして、最後(3つ目)の「書籍を使う」ですが、こちらに関しては、 社内にこれまでウェブマーケティングのメソッドがなく、 新規プロジェクト立ち上げの際に、有効な方法になります。
鍵は”浸透度”!共通言語(メソッド)を”浸透”させる3つの方法
これまで、共通メソッドのお話をさせていただきましたが、 ここで大事なのは「共通メソッドを”浸透”させること」になります。
なぜなら、
「(なんとなく)この方法をベースにプロジェクトを進めていくぞ!」
というように進めていっても、 社員それぞれで、モチベーションや浸透度に差が出てしまうと、 結局のところ、上述したような社員同士の「モチベーション差」が生まれてしまうことが多くあるからです。
「プロジェクトマネージャーからの課題図書」だと、皆さん、なんとなく読んだなんて記憶がありませんか?
これだと、成長スピードにも大きな差が出て、結果的にプロジェクトの成功率も下がっていってしまいます・・。
このようなケースはなんとしても回避しなければなりませんので、共通メソッドを浸透させるために大事なことを3つほど紹介させていただきます。
【共通メソッドを浸透させる方法1】推薦図書を統一する
上述の書籍を使って共通メソッドを作る方法と似ていますが、 まずは、プロジェクトメンバーが共通で読んでおくべき書籍を選んでおき、共有しておきます。
体系的にまとまっている書籍は、プロジェクトメンバーの学習にもなりますので、 学習意欲のあるメンバーが多い時には有効です。
メンバーごとの理解レベルに差が出てしまうと効果が薄れますので、おすすめは、初心者向けのウェブマーケティング本を1冊選ぶ方法です。
ただし、この方法の欠点は
「読まない人間が出やすいこと」
「押し付けられて読んでいるので、なんとなく読んで終わってしまうこと」
になります。
また、プロジェクトメンバーの読書習慣(そもそも本を読むのが苦手)にも依存していしまうので、 この場合は、少々ケアが必要です。
また、近年はYou tubeや書評ブログなどが多くあり、 課題図書を読まずに、このような、ある意味効率的な裏技を行う方も非常に多いので注意してください。
*うまく使えば効率的な方法ではあるのですが、なんとなく理解になり、あまり浸透しないリスクも大いにあります。
【共通メソッドを浸透させる方法2】外部講師によるセミナー(研修)を行う
2つ目の方法としてはご紹介したいのは 「外部講師を招き、半日から1日程度のセミナーを行ってしまう方法」です。
「教え方のうまい外部講師によるセミナーや研修」を行うことで、 今後、生まれる効果は
「あの時○○さんがこう言っていた」
という共通認識(共通体験)がプロジェクトメンバー内で生まれることです。
つまり、共通のメソッドを浸透させるために大切なのは 「共通の体験」を持つことが重要なのです。
ちなみに
「なかなか社内でそのような時間が取れない・・・」
のような場合はコンパクトにまとまっている90分程程度の講演も有効です。
*いずれにせよ、推奨したいのは「なるべく双方向で教えるのが得意な講師」および「伝えるだけではなく、考えさせるのが得意な講師」です。
【共通メソッドを浸透させる方法3】社内ワークショップ
3つ目の方法は「社内ワークショップ」です。
ワークショップの主な目的は、 サイト運営に関して、
・全員で問題意識を共有し
・全員で、解決策を作れること
です。
普段の会議ではなかなか話がまとまらないところを、 じっくりと「問題意識」から丁寧に共有することで、 お互いの意思のすり合わせが行えます。
2番の外部講師を招く方法とも似ているのですが、ここでの大きな違いは 共通メソッドのほか「問題意識」を共有できること。
また、ワークショップの際には、 うまく行えば「共通の体験を持って、施策を作ること」ができますので、 モチベーション高くウェブ運用の施策を行っていくことができます。
私も、ワークショップのファシリテーターとして、研修に行くことがよくあるのですが、 施策を作る以上に、お互いがお互いの問題意識を共有できるところに、施策を作る以上の重要性があるように感じられます。
「正義の反対はもう1つの正義」大切なのは、体系的なコミュニケーションで、チームで1つの正義を作ること
本日、ご紹介させていただいたのは「共通言語(メソッド)を作る」という方法論でしたが、 私はその根底に「ある大切な思想」があると考えています。
その思想とは、
「正義の反対はもう1つの正義」
です。
これは私の尊敬する経営者の先輩から教わった考え方なのですが、 意見がすれ違った際には、どちらが正しいかよりも、大事なのは、
「なんで、これがわからないんだ。 という考えを放棄すること」
だと私は考えています。
ただし、言葉にするのは簡単ですが、これはなかなか納得して落とし込むのが難しいところ。
だからこそ、チームビルディングの際には、 お互いの正義をすり合わせる
・問題意識の“共”有すること
・“共”通の体験をもつこと
・“共”通のメソッドを持つこと が重要なのだと私自身、思います。
ウェブマーケティングは方法論が多い分野だけに、それぞれのやり方がかなり多く、お互いの正義がぶつかりやすい分野です。
ですので、このような「お互いの正義と問題意識をしっかりと理解した上で、 共通言語(メソッド)を持って進むこと」がとても重要だと私自身、強く感じています。
ぜひ、プロジェクトマネージャーの方は、 社内メンバーそれぞれの正義、そして問題意識に着目し、効果的に進める共通言語(メソッド)を作り上げていってみてくださいね。
この度はご拝読いただきありがとうございました。
次回は、vol.4で『ウェブ担当者が自分で学べることと、外注した方がよいこと』をお届けします。
*講演依頼.comの榎本晋作のプロフィールページはこちらになります。
→榎本晋作(株式会社イーグッド 代表取締役/ トリップスタイル株式会社 取締役/ 明星大学 経営学部 非常勤講師)
榎本晋作えのもとしんさく
株式会社イーグッド 代表取締役
デジタルマーケター/IT教育者。「未来社会をリードできるビジネスパーソンを育てる」をミッションに、現役事業家、経営者、デジタルマーケターの視点から講演・研修・コンサルティングを実施。 テクノロジ…
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