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2017年12月20日

問題発見能力と問題解決能力によって生み出されたガリガリ君

子どもの頃から成績がよく、大学はトップで卒業。でも、社会に出て会社に勤め始めた途端、上司に「できないヤツ」とダメ出しばかりされる。人生で味わったことのない挫折感に打ちのめされて、くよくよ悩んでしまう。そんな新入社員の悩みを聞くことがあります。でも、悩む必要はまったくありません。

そもそも「学生時代」と「社会人」、「管理職」とでは、使う脳の場所がまったく違います。脳は使うことで、活性化するといわれます。社会に出た途端、これまで使っていたのとは違う脳を使うのですから、「できないヤツ」といわれて当たり前なのです。これまで、多くの新入社員を見てきたのでよくわかります。

私が勉強してきた範囲で、かんたんに脳の話を説明しておきます。
みなさんもご存じのように、脳全体の80%を占めるのが大脳で、左脳と右脳に分かれています。次のように働きも違います。
・ 左脳……論理的な思考や文字、言葉をつかさどる
・ 右脳……イメージ、想像、直観などをつかさどる

学校の勉強は、文字や数字と向き合い、論理的に考えることが求められます。どうしても、主に使うのは左脳に偏りがちになります。でも、専門職でない限り、学校での勉強を生かせる場は、会社ではあまりありません。一方で、社会人になるといちばん求められるのは、「問題を発見する能力(=問題発見能力)」と「創造力」です。特に企画をする人には不可欠です。何かを生み出すには、問題発見能力がモノを言います。問題を発見するには、直観が大切です。考えていれば、発見できるものではない。いろいろな情報に触れて、気になったものはメモをしたりして、自分の中にストックしておく。すると、ある瞬間に情報が結びついて、「これだ」ということがわかる。この時に、右脳が重要な役割を果たしているのだと私は思っています。

『ガリガリ君』を例にお話しすると、「カップアイスは、カップを片手で持ち、もう一方の手でスプーンを持って食べなければならない。両手がふさがっていると、子どもたちはアイスを食べながら、本を読んだり、ゲームを楽しんだりすることができない」という問題点を発見したから、ワンハンドで食べられる『ガリガリ君』を創造することができたのです。問題発見能力や創造力なしに、『ガリガリ君』は生まれてきませんでした。

今、『ガリガリ君』シリーズでは、2か月に一度、新商品(新フレーバー)を出していますが、創造力がなければ、生み出すことはできません。この創造力をつかさどっているのが右脳なのです。学生時代、勉強ができた人は左脳をメインに使っていたので、社会に出てダメ出しされることは、別に不思議でもなんでもないことです。だから、いつまでも落ち込まなくてもいい。

ちなみに、管理職になると、大脳の前のほうにある前頭葉を使うようになります。思考や創造性を担う脳の司令塔で、生きていくための意欲や感情、思考、実行機能など、いろいろな情報が集まっています。要は立場や年代によって使う脳がまったく違うといわれているのです。まとめると次のようになります。
・ 学生時代……左脳
・ 若手社会人……右脳
・ 管理職……前頭葉

だから、会社で最初に壁にぶちあたっても、心配することはありません。最初にお話ししたように、脳は使っているうちに開発されていきます。仕事で右脳を使っているうちに開発されますので、失敗しても心配しないで、仕事に取り組みましょう。

鈴木政次

鈴木政次

鈴木政次すずきまさつぐ

“ガリガリ君”の開発者そして育ての親

1946年 茨城県出身。1970年 東京農業大学農学部農芸化学科 卒業後、赤城乳業株式会社に入社。1年目から商品開発部に配属される。愛すべき失敗作を生み出しながらも、「ガリガリ君」、「ガツンとみかん」…

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