警察庁の調べによると、2007年も自殺者が3万人を超えたそうです。自殺の背景には、うつ病などの精神疾患があることが問題視されています。最近では、テレビのゴールデンタイムの番組で、”うつ”が頻繁に取り上げられるようになりました。このような情報を目にしたり耳にしたりすると、メンタルタフネス以前にメンタルヘルスの重要性をもっと広めていきたいと強く思うのです。
“うつ”を引き起こす原因には「ストレス」があります。前回の「休む」もそうですが、今回も”心を強くする前にできること”として、ストレスな状態のサインの気づき方をアドバイスさせていだきます。
それでは、皆さんに質問です。普段の自分を振り返ってください。日課にしていることや、続けている楽しいことは何ですか? ジム通い、ストレッチ、英会話、毎朝新聞を読む、犬の散歩、定期的な飲み会・食事会、スポーツ、映画鑑賞、コンサートなど…、毎日やらないと気がすまないことや、楽しんで続けていることならなんでもかまいません。ある日、それをやろうとしたとき(出かけようとしたとき)に、面倒臭さや、億劫な気分を少しでも感じたら、すでに”うつな状態”へ突入していると思ってほしいのです。日課や習慣になっていることや楽しんでいたことが楽しめなくなったら要注意。面倒臭さや億劫な気分はストレスな状態のサインなのです。 大切なのは、そのサインを無視しないこと。最もよくないのは誤魔化すことです。ストレスな状態のサインは体調にもでますが、気分の不調と同様に、誤魔化す方がとても多いことを心配しています。
私の例を挙げます。私の習慣は神棚に手を合わせることです。自宅と会社のどちらにもあり、出張している以外は手を合わせます。しかし、ほんのたまに「あ、手を合わせなきゃ…」と、腰が重たい感じが襲ってくるのです。少しの行動ですむことでも億劫な気分になってしまうのです。そのような時、私は「あ、来たな」とストレスな状態であることを受け入れます。そして、それまでの日々を振り返り、ストレッサー(ストレスの原因となる刺激)を探ります。プレッシャーの大きな仕事がいくつか重なっている(重なっていた)、緊張感のあることが続いている(続いた)、気を遣う人と接する時間が多く続いている(続いた)、まとまった休暇がとれていない…など、少々頑張り過ぎた行く末の心身疲労の蓄積というわけです。
これらは皆さんにも当てはまるものがあるかと思いますし、その他、達成感が得られていない、ショッキングな出来事があった、強い怒りや悲しみ、不安を感じた(感じている)、猛暑や寒冷、騒音など物理的なものが原因にもなります。 このようなサインに気づいたら、前回のコラムのように”休む”ことをしてエネルギーを充電してください。先にお伝えしましたが、サインが出ているのに誤魔化さないこと、無視しないことです。サインが悲鳴に変わらないことを切に願います。
今はアドバイスやご指導をさせていただく立場になりましたが、以前の私は「ストレスなんて私、ないもーん!」と、受け入れない”抵抗派”でした。受け入れてしまうと弱い自分を認めるようで怖かったのです。「私は大丈夫」。そう言いきかせているうちに”ストレス不感症”になっていました。しかし、あるとき気づいてしまったんです。私はもう中年だということに(笑)。恐ろしいほど、次の日に疲れが残り、それが無視できなくなってしまったんです。年齢は誤魔化せません。変えようのない事実です。そこで、メンタルヘルスの正しい知識を自分にも使うようになり、日々メンテナンスをしていますが、面白いことに今の方がずっと気力が充実していることに気づきます。
他人からされて最も嫌なことのひとつに「無視」は入るのではないでしょうか?それを、どうか自分になさらないでくださいね。
岩井結美子いわいゆみこ
株式会社コンシャスインターナショナル代表取締役
営業、人材教育、コンサルティングとさまざまな現場での活躍から心療内科の心理カウンセラーへ転進。カウンセリングの現場で女性患者へメイクを施したことで、心理的な問題の解決につながったことをきっかけに、メイ…
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