このコラムにお立ち寄りいただきましてありがとうございます。
皆さんとご縁が持ててとても嬉しいです。私から発信するコラムのテーマは「メンタルタフネス」です。”メンタルタフネス”とは、辞書で引くと「精神的な強さや、ストレスに対する耐性」とあります(三省堂提供:デイリー新語辞典より)。働き盛りの皆さんの中には、目標達成や部下育成などにプレシャーを感じている人やストレス状態に悩まされ、もっと精神的に強くなりたい!と思っている方も多くおられるのではないでしょうか。 このコラムはそんな皆さんのメンタルタフネスを養う参考書になりますことを願い、心を込めて書かせていただきます。
さて、皆さんは「精心的に強い人」とはどのような人だと思いますか?人によってそれぞれ「精神的に強い人」のイメージがあると思います。私は、「失敗した時や行き詰った時に、なぜそうなったのかを内省し、そこから成長課題を見つけ、具体的な行動に移し自分の弱さを克服している人」を精神的に強い人だと思っています。一言でいうと、「倒れても起き上がる力のある人」です。
私は、仕事と同じくらいスポーツ観戦に夢中になれます。会ったこともない選手たちのことをなぜこんなにも熱狂的に応援できるのか自分でも不思議ですが、一生懸命に応援します。まるで家族が出場しているかのような私の応援ぶりは、一緒に観戦している人たちの度肝を抜くそうです(笑)。
なぜこんなにも夢中になれるのか、ひとつだけ私がわかっていること。それは、スポーツ選手たちの「精神的な強さ」に憧れがあるのだということです。彼らには必ずと言っていいほど「スランプ」、「負け」、「挫折」の体験があります。そこで終わっていく選手もいますが、克服し、以前よりも輝きを増す選手に私は心を奪われるのです。柔道の「谷亮子さん」、フィギアスケートの「安藤美姫さん」、マラソンの「高橋尚子さん」。 彼らは皆、倒れても起き上がり、そして倒れる前よりも好成績を残しました。その強さを心から尊敬します。
さて、では、彼らは生まれつき精神的に強い人間なのでしょうか。いいえ、けしてそうではないと思います。強くなった、のです。精神的に強い人とそうでない人との圧倒的な差は「経験」の数です。何の経験の数なのかというと、行き詰ったとき、壁にぶつかったとき、失敗したとき、それを「乗り越えた体験」の数です。これらの数が多ければ多いほど、または、プレッシャーが高ければ高いほど、精神的な強さが養われていきます。ストレス耐性も同様です。ストレスフルな状態を多く体験するのではなく、そのストレス状態を克服したときに初めて培われる”耐える力”なのです。
私の愛するスポーツ選手たちは、センスや努力で成しえた「うまさ」で金メダルや好成績をあげ華々しいデビューをしましたが、初めのころに勝てたのは強いからではなく、「うまい」からだと思います。一度勝つと今度は期待がのしかかりプレッシャーとの戦いに負け、勝てなくなります。そこからが、自分を強くできるステップの始まりです。ここで乗り越えた選手たちが、精神的に強くなり、少々のことではめげない一流のアスリートに成長していきます。負けたままにせず、勝つために起き上がり、そして再び勝つことで、強靭な精神力が培われていくのです。 ということは、グッドニュース!このプロセスを踏めば、誰もが自分を強くすることができる、ということになりますね。スポーツの世界だけではなく、ビジネスの場でも同じです。メンタルタフネスを養うのに必要な経験は大きくは二つです。
(1)困難やプレッシャーに立ち向かって突破する経験
(2)困難やプレッシャーに立ち向かわずに切り離す経験
1は、プレッシャーのかかる仕事で成果を出す、苦手な相手と向き合う、我慢せずに自己主張する、などがあげられます。 2は、自分の考え方や受け止め方を変える、うまくかわす、感情を手放す、などがあげられます。突破して乗り越えるのも、切り離すことで乗り越えるのも、どちらも「克服したこと」になります。そのどちらかを選択する目を養うのも経験が必要です。
私はプレッシャーやストレスを乗り越えた、という強い自覚のある経験をするのに20代後半までかかりました。営業や教育コンサルティングの仕事では好成績を残し、求められる結果は出していましたが、あまりプレッシャーはなくガムシャラにやっていたら結果が出た、そんな感じです。ようするに、乗り越えた、という手応えが全く得られていませんでした。それが、心療内科で心理カウンセラーという仕事に就いた時、予想だにしなかったプレッシャーとストレスがのしかかり、落ち込みや情けなさ、挫折、失望…そんな絶不調な状態が続きました。自分の弱さに、ほとほと吐き気がするほどでした。心の健康を損なってしまった患者さんたちに、どう向き合っていいのかわからず何度逃げたいと思ったかしれません。仕事がまったく楽しくなかったです。しかし、私は突破する道を意識的に選びました。ここで辞めたら、私は自分を嫌いになるであろうことは想像できました。とにかく私は、強くなりたかったのです。 幸い、支えてくださった職場の先生方のおかげもあり、私は続けることができました。そしてある日、担当していた患者さんにこう言われたのです。
「先生は私の恩人です」。
なにもかもが報われた一瞬でした。このときから私は、自分を信頼することができるようになったのです。
この患者さんと、支えてくださった先生方に心から感謝しています。 それからは、意識的に乗り越えることの連続です。今でも「私は精神的に強い」と言い切れはしませんが、確実に、着実に、数年前の自分よりも「タフ」になったという実感があります。私は確信しています。意識的に乗り越えた体験からは達成感が得られます。それは、自分自身を信頼する確かな材料となります。「自分は倒れても、また起き上がれる」。そんな自分への信頼を精神的な強さに変えていきましょう。
心理学的な背景と私のズッコケ話を暴露しながら、乗り越える材料の見つけ方を次回からご紹介していきます。どうぞ、お付き合いください!
岩井結美子いわいゆみこ
株式会社コンシャスインターナショナル代表取締役
営業、人材教育、コンサルティングとさまざまな現場での活躍から心療内科の心理カウンセラーへ転進。カウンセリングの現場で女性患者へメイクを施したことで、心理的な問題の解決につながったことをきっかけに、メイ…
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