今回は、自分の言いたいことを「爽やかに伝える」というコミュニケーションについてお話します。皆さんは、言いたいことが言えている毎日ですか? もちろん利害関係やタイミングなどもあり、言えないこと、言わないことも多々あるかと思います。しかし、言えるとしたらどんな言い方をしたらいいのか、実は私たちはしっかり学んでいません。
アメリカで発達した「アサーション」という自己主張の仕方はとてもお勧めです。私自身もアサーションを日頃のコミュニケーションに取り入れたことで、人間関係がかなり楽になり、ストレスも激減しました。普段、あまり我慢している実感がない私でしたが、「言い方」を少し変えただけで理解してもらえたり、誤解が減るといったことが起きてとても驚いています。
さて、そんな便利なやり方があるのかと思われるかもしれませんが、ひとつご紹介します。
<「私メッセージ」で伝える。>
次の場面で、皆さんが「Aさん」の立場だったら、以下の1~3のうち、どの言い方をされると申し訳なさから素直に謝り、これからは時間厳守を気をつけようと反省できますか?
【場面】
友人と映画を見に行く約束をしていましたが、Aさんは寝坊をして約束の時間に遅れ、上映時間に間に合いませんでした。
【言い方】
(1)「あんたのせいで見られなかったじゃないか!休みの日が台無しだ!」
(2)「次の上映で見ればいいよね。どこかで時間をつぶそうよ」
(3)「私はこの上映時間に合わせて支度してきていたから見られなくて残念だよ」
皆さんはどれを選びましたか?(寝坊して遅刻したのですから、どれもでも謝りますよね(笑))。(1)は怒らせてしまっていますから、まずは謝らなくては!と、なだめる感覚が含まれているのではないでしょうか。反省を促される感じがするのは(2)か(3)の人が多いと思います。
では、この友人の立場になってみましょう。(2)と(3)のどちらのほうがストレスが少ないと思いますか?以前のこのコラムで紹介したように、状況をポジティブに受け止めることができる人であれば、(2)はさほどストレスではないでしょう。しかし、「我慢」しているのだとしたら、相当ストレスだと言えます。では、(3)はどうでしょうか。自分はきちんと約束を守って準備してきたことを伝え、そして、遅刻をされたことで映画を見られなかったことに対しての自分が味わった感情を伝えています。(3)で伝えていることは全て「自分に起きていること」ということになります。これが、「私メッセージ」(相手の受け入れられない言動を、相手を責めることなく伝える方法)です。それと比較して(1)は、思いっきりAさん自体を否定していますよね。このような伝え方を「あなたメッセージ」(相手を非難、批判する伝え方)と言います。「あなたメッセージ」は確かに我慢はしていませんが、この後の二人の関係に支障をきたす可能性があります。少なくとも、いや~な空気になることは間違いなさそうです。
「私メッセージ」は、あくまでその人が感じていることを伝えているだけなので、言われたほうは批判や批難されている気がしないのです。そして、「私メッセージ」を発した人に対して、その気持ちにさせてしまったことへの素直な反省を促す効果があるのが特徴です。Aさんは自主的に詫びるので、その後もいや~な空気にはなりにくく、お互いが爽やかでいられます。そして、友人はきちんと詫びてもらうことができ、Aさんは気をつけようと思えるわけです。アサーションは、まずは自分のことを考えますが相手も配慮するコミュニケーションです。言って気持ちいい、言われて気持ちのいい関係を一人でも多くの人と築けたら、ストレスの少ない毎日になると想像できますね。Let’s try!
(注)口調には十分に気をつけて。「私メッセージ」は、さらっと爽やかな口調がポイントです!
岩井結美子いわいゆみこ
株式会社コンシャスインターナショナル代表取締役
営業、人材教育、コンサルティングとさまざまな現場での活躍から心療内科の心理カウンセラーへ転進。カウンセリングの現場で女性患者へメイクを施したことで、心理的な問題の解決につながったことをきっかけに、メイ…
ビジネス|人気記事 TOP5
女性に下駄を履かせるとは?~女性活躍推進の現状~
藤井佐和子のコラム 「企業・個人を豊かにするキャリアデザインの考え方」
高齢者が病院に行きすぎてしまう理由
川口雅裕のコラム 「人が育つ会社、育たない会社」
逆境を乗り越えよう
宗次徳二のコラム 「宗次流 独断と偏見の経営哲学」
デジタル化とは何か? そのメリット、デメリットと具体的な事例
久原健司のコラム 「IoT・AIで地方の問題を解決する」
社会で自律的に活躍するために必要な「自己肯定感」
藤井佐和子のコラム 「企業・個人を豊かにするキャリアデザインの考え方」
講演・セミナーの
ご相談は無料です。
業界21年、実績3万件の中で蓄積してきた
講演会のノウハウを丁寧にご案内いたします。
趣旨・目的、聴講対象者、希望講師や
講師のイメージなど、
お決まりの範囲で構いませんので、
お気軽にご連絡ください。