前回のコラムでは、”話の達人”たちがいかにして聴衆を「つかむ」か。
その例を挙げてみました。
今月はその先の問題です。みなさんが「つかむ」時どうしたらいいか。
まず、メリハリのある登場。見た目が肝心ということです。
例えば・・・
「ではコンベンション21の概要について、
営業促進部・山田翔太さんから説明してもらいましょう。
山田さんお願いします」。
軽い紹介を受けて10名か20名の前に進むあなた。
そこで注意すべきは、どんなにあがっていようとも、見た目は堂々としてみること。
背筋を伸ばし、呼吸は努めてゆっくりを心がける。
ついでに顔の表情も、口角を努めて上げ気味にして、晴れやかな感じを醸し出す。
緊張しているに決まっているのですが、
だからこそ、外見は嘘でもコチョコチョしてはいけないのです。
「かわいそうになあ、あんなにあがっちゃって。痛々しいなあ」
と同情されたら、何を言ってもつかめません。
しゃべりはじめる前に、
集まっている人の顔を見渡すのに一呼吸二呼吸間を空ける。
これで十分、「意外と堂々としてるじゃん」、
「自信ありそうだなあ」という見た目のつかみはOK。
そこで一言、
「こう見えても、あがってます」。
この意外な一言で、笑ってもらえたりするものです。
これを「つかんだ」といいます。
人は、すべてが完璧なものに共感しません。
「なんだ、あいつ緊張してんじゃん」という感じが伝われば、
それだけで親近感を持って聞いてもらえます。
「おい、その数字違ってるぞ!」と突っ込んでももらえます。
最初の「つかみ」がうまくいけば、
周囲はサポーティブ(何とか応援してやりたいという気分)になり、
その後が進行しやすくなるものです。
そのほかのよくある「つかみ」の例を。
最初の一言として、会場にいる人が共通して感じていること、
興味があることを一言、冒頭で言うというのも、
無理のない「つかみ」の定番です。
(登場直後、いきなり)
「皆様、気になっていると思いますが、
つい先ほど、松井の満塁ホームランでヤンキース勝ちました。
(時差の関係で途中まではちらちら見ていた中継を、
後ろ髪引かれる思いで会議に参加した社員達。
一番気になるポイントを言われ、おーっと一瞬盛り上がる)。
で、ここからは心置きなく私の話をお聞きください」。
もしくは、
「私の声が枯れてるとすれば、
社食の辛すぎた麻婆豆腐定食のせいかもしれません」。
多くの人が麻婆豆腐定食を食べていれば、それだけで大きな「つかみ」です。
「暖房効き過ぎてませんか?そうでもない?
すると私の額から流れる汗は緊張の汗ですね、大丈夫かなあ」。
自分に突っ込みを入れる。これも「つかみ」です。
また、大げさに言う。
これもつかみの常道です。
「今回、みなさんに概要をお伝えするためにいろいろ調べた結果、
驚愕の事実が判明しました。
私が話している様子を『YouTube』にアップしたりしないよう
他言無用でお願いします」。
と、おどろおどろしく言う。
ここで、笑いが来ないときは、
「えー、冗談は顔だけにしておけ、との声もありますので
本論行きます」。
このくらいはやっても良いでしょう(いけない会社もあるかも?)。
ここで重要なのが、「つかむ」ためには、
若干の「しらける」というリスクを覚悟してほしいということです。
それを繰り返すことで、あなたのキャラが構築され、
いずれかは登場しただけで、
その表情そのものが「つかみ」になる日がやってくると信じて。
失敗は成功の母ですからね。
「おいおい、そういうおちゃらけた<つかみ>じゃなくて、
もっと王道を行く本格的な<つかみ>はないのか?!」
という声に応えましょう。
1:登場するときに堂々と、自信満々の様子を見せる。これは前述したとおりです
2:話す内容のタイトルを、売れ筋の新刊本のように刺激的なものにする。
たとえば、
「<我が社だけが生き残れる、たった一つの方法>と題してお話しします」と始める。
3:前フリに一言。
「本日のご報告、聞けなかった方は、たぶん歯ぎしりをする内容です」
ぐらいの「かまし」を入れる。
1、2、3では笑いは起きないでしょうが「引き」にはなるはず。
注目を集める、聞き手を聞く気にさせる。
そのために「つかみ」が大事なのですから、
漫然と喋りはじめるのは良くないこと。
しゃべる時は、誰もがエンターテイナーとして
聞き手をわくわくさせなければなりません。
仕事だって、つまらないよりおもしろい方が良い、と思って下さい。
社内セミナー、プレゼンなどで、勇気を持ってぜひお試しを。
梶原しげるかじわらしげる
フリーアナウンサー
1950年生まれ。神奈川県茅ケ崎出身、早稲田大学法学部卒。文化放送にアナウンサーとして入社。92年からフリーとなる。 バラエティーから報道まで数々の番組に出演し、49歳で東京成徳大学大学院 心理学研…
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