「強み」は人材としての価値の源泉であり、キャリアを築いていく上で「自分の強みは何か」という問いは非常に重要です。では、強みを発見したり作ったりするには、どうすればよいか。今回はこれを考えてみます。
一つ目は、周囲の人たちがあまり知らないこと、苦手としていることは何かを知ることです。知識や技術の習得は重要ですが、それが上司や同僚の多くが知っている範囲・レベルであれば、高い価値はないので「強み」とは言えません。価値は希少性に左右されるので(珍しく、少ないものほど価値が高くなるので)、知識や技術も他者とは異なる範囲に及んだり、他者には真似が難しいレベルになったりしてはじめて価値が生まれ、強みとなります。したがって、強みを作るには、皆が知っていることを学ぶのではなく、皆が知らないことを学ぶのが近道。また、何かを学ぶ際には、少しでも関連分野に踏み込んでみたり、周囲の人があまり持っていない技術に関心を向けてみたりすべきです。
二つ目は、強みは個性であると捉えること。周囲の人達のそれぞれ優れている点を自分と比較し、自分が劣っていると考えるような姿勢は感心しません。人にはそれぞれの特徴があり、その特徴は優劣ではなく、「違い」や「個性」として理解することが大切。強みと弱みは、表裏でもあります。積極性があるのは良いことですいが、計画性や熟慮が足りないということもあるでしょう。フットワークの軽さやスピード感があるも良いことですが、慎重さや丁寧さに欠ける傾向があるかもしれません。しっかりと説得力ある発言ができる人も、受け取る人によっては、きつく配慮に欠ける物言いに聞こえるでしょう。このように、自分の特徴を誰かと比べてネガティブに捉え、弱みだと考えるのではなく、自分の特徴を前向きに表現し、良い面を見るようにすべきです。
三つ目は、自分が自然にやっていることの中に、強みがあるということ。自分が自然にできていて、苦もなく意識せずともやってしまっているので、それが強みだと自覚できていないケースはよくあります。自分が簡単にできることは、誰にでもできると思ってしまいがち。他者の特徴はよく分かるのに、自分の特徴は自分ではよく分からないのです。だから、周囲の人たちに「私の特徴は何か?」と尋ねなければなかなか分かりません。職場の人、友人や家族に訊いてみるしかありません。その回答の中に、きっと強みやこれから強みになっていく芽のようなものがあります。
四つ目は、振り返る習慣が強みの発見につながるということ。ピーター・ドラッカーは、その著書「明日を支配するもの」の中で、次のように言っています。『自らの強みは、フィードバック分析によって知ることができる。やることを決めたならば、どんな成果を期待するかを書きとめる。九か月後あるいは一年後に、その期待と現実を照合する。期待どおりの成果、期待を越える成果の記録から、二、三年もすれば、自らの強みを知ることができる。』このように、自らを丁寧に振り返ることが強みの発見には欠かせません。
川口雅裕かわぐちまさひろ
NPO法人「老いの工学研究所」理事長(高齢期の暮らしの研究者)
皆様が貴重な時間を使って来られたことに感謝し、関西人らしい“芸人魂”を持ってお話しをしています。その結果、少しでも「楽しさ」や「気づき」をお持ち帰りいただけていることは、講師冥利につきると思います。ま…
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