バブル崩壊後、すでに20年余り。その間、幾度と無く景気はいずれ回復するであろうという淡い期待と共に、確かにその兆しもあったように思う。だが今日現在を見るにつけ、残念ながら景気回復の兆候どころか、諸状況はますます厳しくなっているのではないだろうか。加えて、明日から先の不安感は募るばかりだ。そうした思いは私ばかりでなく、殆どの経営者の思いではないだろうか。
すでに事ここまで来ると、他人依存や他力本願では、将来に向け、この難局は打開できないと思われる。打開する最も効果的な方法をあえて上げるならば、経営者自身が自らの責任と、これまでに無い程の努力をすることだ。今まさにこの時が残された最後のチャンスであり、今それをしなければ、近い将来多くの人々を巻き込み、不幸な結末を迎えることになるだろう。
振り返ってみれば、経営者は誰もが創業当時、又は先代から経営権を譲り受けた時は、将来の成功の姿を思い描き、朝から晩まで、時には寝食を忘れ、不眠不休もいとわず頑張っていたであろう。その結果、当然のごとく社業も軌道に乗り、多くの人々の期待に応えることができ、社長業の歓びをかみ締めホッとひと安心する。だがそれと同時に「朝から晩まで経営することだけが、人生ではないのだから」と徐々に社外の友人付き合いが増え、趣味に興じている時間が増え、自らの欲求を満たすことを優先しがちになるのだ。当然休日も増え、まるで自分が楽しめて、家族を経済的に豊かにすることこそが、社長になった目的なのではないか、とさえ思えてしまう経営者が何と多いことか。
こうした姿は、私から見れば驚きであり、不思議に思えてならないのだ。経営者であるならば、経営に関わる多くの人々の喜びや幸せの実現、地域社会での弱い立場の人々の為に、我が身を会社経営に捧げねばならない。これこそが結果として真の人生の成功にもなると考えているからだ。今こそ、人・物・金も、信用も実績も何もかも無かったあの時に、原点である創業時に立ち返り、希望と情熱とやる気一杯で、どんな困難にも負けることなく、果敢に立ち向かっていたあの時に戻ろう。休日を取りたい、楽をしたいとか遊ぼうなどと思うことすらなく、何とか経営を軌道に乗せたいと、必死の思いで日々を乗り切っていた、あの創業時に戻っていただきたい。いや戻らなければならないのだ。加えて経営における、確たる目標を持つことだ。例え今厳しくとも、必ずや良くなる。良くなるに決まっていると固く信じ、繁栄、成功への道を歩んでいただきたい。自身を取り巻く、実に多くの人々の為にも…である。
宗次徳二むねつぐとくじ
カレーハウス CoCo壱番屋 創業者
生後まもなく孤児院に預けられ、3歳で「宗次」姓の養父母に引き取られる。養父のギャンブル狂によって各地を転々とし、養父母の離婚の後は養父と2人、生活保護を受ける極貧の少年時代を過ごす。 自ら学費を稼ぎ…
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