皆さんは、「天文学」(astronomy)という学問についてじっくりと考えてみたことがあるでしょうか。言うまでもなく、天文学は、私たち人間が研究している学問分野の一部門ですが、天文学の立場から述べるならば、「宇宙の時間における”人間の存在期間”」は”極めて些細な一瞬”であり、本来、「宇宙」という空間自体、”人間”が存在していなくても成り立つ空間です。
都会の喧騒の中でビジネスライフを送っていると、私たちは、時として、人間として忘れてはならない大切なことについて盲目になってしまうことがあります。その一つが、「一人の人間の一生の”短さ”」。本稿においては、今改めて「時間の価値」について再考する目的で、このことについて皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
冒頭で述べたように、天文学として「宇宙の時間」について捉えてみると、「私たち人間の一生の長さは”頗る短いもの”」という明らかな現実がはっきりと見えてきます。・・・・・だからこそ、多くの人々が、「人生は短い。それ故、迎える一日一日において一分一秒を大切にし、価値ある時間を過ごしたい」と考えるわけです。
言うまでもないことですが、どのような人間においても、いずれは「死」が到来します。今現在、かりに毎日元気に過ごしていても、一時間後に、何らかの事故、あるいは、自分の体(健康状態)に異変が起きるかもしれません。まさに、人間の「生」(life)は、”一寸先は闇”と言えるものです。
人間の「生」が”一寸先は闇”であるならば、迎える日々において、「一分一秒たりとも時間を無駄にしたくない」と考えるのは”自明の理”です。
思うに、「無駄」には、二つあります。一つは、「一見、無駄と思えても、長い目で見れば”必要な無駄”」。そして、もう一つは、「長い目で見ても、無駄としか捉えることのできない”不必要な無駄”」。
前者は、所謂、「人は経験で学ぶ。人は、良い経験だけでなく、悪い経験からも何らかの気づきを得る」という考え方。そして、後者は、「人は経験でものを学ぶが、この世の中には”不必要な経験”というものも確かに存在する」という考え方です。
私自身、執筆においても、講演・講義においても、常に、「人間の成長には、多種多様な経験が必要である」というラインで言葉を発しています。しかし、一口に経験といっても、世の中には、「必要のない経験」、「どのように解釈しても、無駄としか思えない無駄な経験」というものがあります。
人間の一生は、頗る短い代物。必要な無駄は”意味のある無駄”ですが、「無駄な無駄は、”無意味な無駄”でしかない」と私は捉えます。年齢・職業・性別等にかかわりなく、世界中のどのような人間においても、一日たった24時間しかありません。時間が足りないからといって、例えば、「デパートで、100万円を支払って”必要な時間”を買う」ということは不可能です。
最後に、”時間に追われて”、慌しく毎日を過ごしているビジネスパーソンの皆さんに対して、真心を込めて一つのメッセージを捧げたいと思います。
「”時間”という代物は、”理性的存在者”としての人間が、
理性的思考を通して効果的に使うものです。
もし逆に、人間が、(理性を備えていない)時間に支配されてしまったら、
それは本末転倒というべき不幸な様相となってしまいます。
大切なことは、常に、”極めて理性的に”時間について捉えることです。
理性的存在者として常に深い思考を試みれば、
必ず、時間を、上手に、そして、極めて有効に使うことができます。」
生井利幸なまいとしゆき
生井利幸事務所代表
「ビジネス力」は、決して仕事における業務処理能力のみを指すわけではありません。ビジネス力は、”自己表現力”であり、”人間関係力”そのものです。いい結果を出すビジネスパーソンになるためには、「自分自身を…
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