CHANGEをCHANCEとするには
進化論を唱えたダーウィンは述べている。「この世で生き残る生き物はどんなヤツか?力の強いヤツか?頭のいいヤツか?いや違う。変化に対応できる生き物だ」と。
ビジネスはもちろん野球の世界を見ても、変化の速度は恐ろしく速い。1年前に今の状況を予測した人などはいない。この間まで「選手の分際で・・・」などと言っていたオーナー会議のメンバーだった経営者の多くが、退任を余儀なくされもはや過去の人である。それに、選手がストなどやるはずがない、伝家の宝刀は抜かないものだ、ファンが許さないだろう、と言われていたのが、ファンが選手を応援してストに突入してしまった。ライブドアが手を挙げたところで、新たな球団ができるのにはもう1年はかかるだろうというのが多くの専門家の見方だったが、楽天の参入で一気に加速し、来期には新たな球団の参入が決定した。
ことほどさように時代の変化のスピードは速い。まさに「ドッグイヤー」と言われる通りである。犬と人間の一生を比較すれば、2~3カ月が犬にとっての一年だが、世の中の変化の速度がもはや四半期が1年というくらいの速さになっている ということだ。昨日の常識は今日の非常識、昨日の非常識が今日の常識という時代だと言える。
野球もファンが変化を後押ししたように、ビジネスも消費者が変化を起こし、行政も生活者が変化を引き起こす。つまり、自らが生活者の視点に立って、その変化を捉え続け、活かし続けなければ生き残れない。変化はチャンス!変化の中にこそチャンスがある。
変化は英語ではCHANGEだ。よく見ると5文字目のジャイアンツのGの中に小さなタイガースのTがある。このTを取ってみて頂きたい。するとCHANCEとなる。では、そのTとは何かと言えば、TABOOのことだ。つまり、変化を捉えるためには、今での固定概念や既成概念、過去の成功体験、つまらないしがらみや意味のない義理と決別しなければ、変化は変化のままで指を加えて見ているだけとなる。CHANGEをCHANCEとするには、頭からTABOOを取り去らねばならない。
ドッグイヤーを3つの「ワン!」で生き抜け
TABOOを取り去り、このドッグイヤーの時代を生き抜くためには、犬に習って3つの「ワン!」を実践して頂きたい。すなわち、「オンリー・ワン」、「ワン・ツー・ワン」、「ワンス・ア・デイ」である。
まずは「オンリー・ワン」。時代の変化が緩慢な時は、横並び発想でも生きて行けるが、現在のように変化が激しい世の中では共倒れになる。あるいは他のマネをしている内に戦い自体が終わってしまう。あくまでもオリジナルでなければならない。そのためには、同じ業種内で泥仕合や傷のなめ合いばかりに汲々とするのではなく、異業種の優れたビジネスモデルをライバルとすべきだ。今やコンビニやファーストフード、ゲームや音楽などの業界トップも、「ライバルは携帯電話」と公言している。オンリー・ワンでなければ存在意義さえがない。
二番目の「ワン・ツー・ワン」は商売の鉄則。いつの時代もお客様は神様だ。客が客を呼ぶのである。一人一人の顧客を大切にすることが一番の近道に他ならない。集客や誘客ばかりに気をとられがちだが、その前に、今まで贔屓にして頂いて来たお客様を失客してはならない。客を留める留客のためには、顧客を知る、知客が勝敗を決する。レストランに行って、「お誕生日ですよね。昨年いらした時におっしゃってましたよね」とちょっとしたプレゼントでももらえば嬉しいもの。しかし、人間の記憶力には限界がある。ITは目的ではなく手段。顧客管理ではなく顧客活用が大切である。
そして「ワンス・ア・デイ」。顧客を飽きさせてはならない。夫婦でも長続きするカップルは、日々新たな発見がある。しかし、家に帰るといきなり奥さんが藤原紀香になっていたら、家を間違ったかなということになる。日常の安らぎや懐かしさの中に少しずつ変化を起こして行くことが肝要だ。一つでもいいから新しい商品を置くとか、レイアウトやスタッフを配置代えするとか、小さな変化の積み重ねが、常にみずみずしさを保つ秘訣である。
変化はチャンス!タブーを取り去り、変化を捉えて活かして頂きたい。
西川りゅうじんにしかわりゅうじん
マーケティングコンサルタント
商業開発研究所レゾン所長。1960年兵庫県出身。一橋大学経済学部(1984年)及び法学部(1986年)卒業。在学中に企画プロデュース事務所を起業。マーケティング戦略のエキスパートとして長きにわたり、産…
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