DXへの取り組みにおいて、社内に「DX推進室」や「DX企画部」などの専門部署を設置してDXへの取り組みについて推進してきた企業は多いと思います。しかし、「2025年の崖」レポートが公開されてから3年が経ち、なかなかDXが進まない状況が続いているようです。
そのような中、社内での検討に見切りをつけ、「DXに詳しい」「DXを遂行してくれる」人材を外部に求め始めた企業もあるようです。しかし、人材育成の専門家の中には、そのような取り組みでは成果をあげられないだろうという見方もあります。
このコラムでも、以前社内のDX人材育成のためにプログラミング教育を、という記事を書きました。社外に人材を求めるのではなく、社内にいる人材をDX人材に育てる方が大きな効果を見込める、という考えから書いた記事です。「やってみたけど駄目だったからやり方を変えるのだ」と反論される方や、「これから育成するのでは時間がかかりすぎる」と感じる方もおられるでしょうが、実際にこれまで費やしてきたこと数年を考えると、やり方次第で社内の人材は育っていたのではないかとも思われます。
外部に人材を求める場合、もちろんIT技術に精通し、DXの進め方について知悉している人材を探すことになりますが、そもそもそんな人材は数が少ないですし、採用のコストも非常に高いものになるでしょう。そして、その人材は、御社の業務については素人なのです。これは、人を雇う場合でも、コンサルタントとして雇う場合でも同じ様なものです。
人材を探すのに時間がかかり、採用に時間がかかり、めでたく採用できたとしても、自社の業務内容について理解できるまでには、あっという間に時間が経ってしまいます。
そして、その人が業務を理解できたとしても、その理解度は元々現場で働いている人達のレベルには到底およびません。DXというのは既存のビジネスプロセスを一旦壊して、デジタルで再構築する、という手順を踏むことが多いと思いますが、そのプロセスを壊したときにどこにどのような影響が及ぶのかを考えずに壊してしまうと、悲惨なことになってしまいます。
また、私自身、外部のコンサルタントとしてさまざまなお客様の業務改善のお手伝いをしてきましたが、お手伝いしている期間中は業務が改善したように見えても、契約が終ってしばらく経つといつの間にか元に戻ってしまっている、ということもあります。改善が組織に根付くためには時間がかかりますし、何よりも社内でその態勢を維持するための努力をしてくれる人が不可欠なのです。そうでないと、旧来の(やりなれた)やり方に戻ろうとする力がどうしても働いてしまいます。
このように、同じ時間をかけるのであれば、業務を知悉した社内の人材のITリテラシーを高める方が、よほど「成功の確率」は上がるのです。では、どうすればそういった人材を育てることができるのでしょうか?次回はそれについて考えて見たいと思います。
大越章司おおこししょうじ
株式会社アプライド・マーケティング 代表取締役
外資系/国産、ハードウェア/ソフトウェアと、幅広い業種/技術分野で営業/マーケティングを経験。現在は独立してIT企業のマーケティングをお手伝いしています。 様々な業種/技術を経験しているため、IT技…
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