これまでDXやマーケティングについて書いてきましたが、まだイメージが掴めない、という方もおられるかも知れません。そこで今回は、私がこれまであちこちで見たり聞いたりしてきた「これはちょっと良いな」というデジタル化の実例について書いてみましょう。
とある建築関係の会社で、海外(東南アジア)でのプロジェクトを請け負いました。日本企業の工場と事務所を現地に建築するのです。現場責任者は日本人ですが、作業員は全員現地の人達です。このプロジェクトを進めるにあたって、工程管理をどうしたら良いか、という話になりました。この会社自身は、国内でのプロジェクト用に工程管理のシステムを持っていましたが、UIが日本語で現地の人達には使えません。様々なデータの入力を責任者一人で行うのは無理です。しかし、新しいシステムを開発する時間も予算もありません。着工は間近に迫っていました。
この会社が最終的にどうしたかというと、「システムを作ることをあきらめた」のです。すでにあるクラウドサービスやアプリを組み合わせて、目的を達成できる仕組みを構築しました。
具体的には、工程管理はすべて写真で行います。業務終了後の現場の写真をスマホで撮って、それをクラウドストレージにアップします。すると、日本の担当者がそれをチェックして、どこまで進んだかを判断します。出退勤管理も写真で行いました。朝と夕方、作業員全員が並んで写真を撮ります。誰が来ているか、休んでいるかが一目瞭然です。
その他の細かい連絡事項や情報伝達には、LINEを使いました。東南アジアでは、日本並にLINEが普及しており、LINEをUIに使うことで現地の作業員へのトレーニングも必要無く、皆が使いこなすことができたということです。
いかがでしょうか?文字数の関係でだいぶ端折りましたが、雰囲気は伝わったのではないかと思います。このお話で大事なのは、「システムなど作らなくても、目的は達成できる」ということです。ありもののクラウドサービスを組み合わせることで、必要最低限の機能要件を満たすことができ、コストもほとんどかからないのであれば、それに越したことはありません。このように、サービスを組み合わせて目的のシステムを作り上げるやり方を「マッシュアップ」と言います。クラウドサービスが多様化する中、プログラムを書かなくても、発想次第で目的を達成できるという時代がすでに到来しているのです。
最初から「システムを作らなければ」という発想をしてしまうと、そこからなかなか抜け出せません。柔軟な発想をすることで、安価に、迅速に目的を達成できる道が見つかるのです。そして、それこそがDXへの第一歩なのではないでしょうか。
大越章司おおこししょうじ
株式会社アプライド・マーケティング 代表取締役
外資系/国産、ハードウェア/ソフトウェアと、幅広い業種/技術分野で営業/マーケティングを経験。現在は独立してIT企業のマーケティングをお手伝いしています。 様々な業種/技術を経験しているため、IT技…
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