最近生成AIの記事ばかり書いていて、DXはどうしたんだ、という声も聞こえてきそうなのですが、久しぶりにDXの話です。
生成AIのインパクトはものすごいものがあり、今や世界中のヒト・モノ・カネが生成AIに投入されています。特に米国の動きはダイナミックで、2月のコラムでも書いたように、ChatGPTを開発した米OpenAIのサム・アルトマンCEOが数兆ドル(数百兆円)を調達して世界の半導体生産能力を拡大する計画を立てているというニュースが報じられたり、最近もマイクロソフトがOpenAIと組んで1000億ドルを投資してAI用スパコンを含むデータセンターを新設することが報じられたりしています。人材の争奪戦も激しく、AIの技術者が破格の待遇で引き抜かれることも日常茶飯事です。
このように、世界中が生成AIに夢中になっているのですが、そこには非常に危うい状況もあります。生成AIは確かにこれまでのAIに比べて能力が飛躍的に高まっていますが、その反面、以前も書いたように平気で嘘をついたり(この現象にはハルシネーション(幻覚)という名前が付きました)、学習データの著作権の問題もあります。何より、生成AIがこのまま進化していくのかどうかといったことすら「わからない」のが実態です。
それこそ来月に、生成AIの致命的な欠陥が判明したり、生成AIを超えるまったく新しいAIが出現したりするかも知れません。今の生成AIが進化した先に何ができるようになるのかも、予測できている人はいないでしょう。世界中が、「考えながら」全力疾走しているのが現状なのです。
しかし、今生成AIに取り組まなければ、競合他社において行かれてしまいます。企業としてはそれも避けなければならないのも、明らかです。すべての企業が「走りながら」考えることに取り組み、それに慣れていかなければならないのです。これはつまり、組織の見直しやビジネスプロセスの見直しが必要ということになりますが、これはDXの目標そのものです。
ここ数年、DXに絡んでVUCAという言葉を目にするようになりました。VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った造語で、元々は軍事用語です。物事の不確実性が高く、将来の予測が困難な状態を指します。DXは、VUCAの時代にあって企業が変化に対応していくために必要なことであり、それは生成AIの時代になっても変わらないどころか、生成AIがどう変化するかわからないためにVUCAに新しい(そしてさらに変化の激しい)要素が加わったということができます。
経産省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」まであと1年ですが、生成AIの登場によって、そんな悠長なことは言っていられない状況になった、ということなのではないでしょうか。
大越章司おおこししょうじ
株式会社アプライド・マーケティング 代表取締役
外資系/国産、ハードウェア/ソフトウェアと、幅広い業種/技術分野で営業/マーケティングを経験。現在は独立してIT企業のマーケティングをお手伝いしています。 様々な業種/技術を経験しているため、IT技…
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