研修の最後で質問を受け付けた時だった。30歳くらいの女性に「大谷さんは、どうして、そんなに自信があるんですか?」と、聞かれた。もちろん、「自信なんてないよ」と答えた。わたしも、30歳くらいの時、「何で、他の人は、こんなに自信があるんだろう」「なんで、わたしばっかり、つまづいているんだろう」と、毎日、悶々としていた時期があった。自分は自信が無いのに、周囲にきらめいている人を見るのはつらかった。周囲のみんなが、やっている仕事がすごくステキに見えた。「なんで、わたしには、良い仕事が入ってこないんだろう?」「どうせ、わたしなんかに、輝く仕事は来ないんだ」と、不平不満を言ってすねてた。
しかも、ありがたいことに、わたしは自信を持てるような過去なんて何もなかった。学級委員の経験も無し。もてた経験も無し。ステキなデートの経験も無し。良い成績を取ったことも無かったし、ヒーロー経験も無かった。それどころか、結構、何をやってもダメな人間だった。だから、彼女が質問した気持ちが痛いほど分かった。
今でも自信なんて全くない。ただ、「自信は、自分でつけるしかないんだ」ということが分かっただけ。目の前の壁をひとつずつ越えて行くうちに、自信って少しずつついてくるんだということが分かった。わたしにそれを気づかせてくれたのがコーチングだった。
わたしは、ビジネスをしたくてコーチングを学んだわけでもなければ、コーチになりたかったわけでもない。「コーチをする人は、まず、自分の気がかりをなくさなければならない」「自分を幸せにできるのは、自分しかない」。この言葉に惹かれてコーチングを勉強しだしただけ。自分しか自分を幸せにできない。この言葉がストーンと自分に落ちた。そして、ちょっとずつ、自分を幸せにしてあげたくて、自分の目の前の壁と向かい合って、ひとつずつ超えて行くうちに、「自信」という言葉の意味が分かってきた。つまり、「自分を信じてあげる」ということだったんだ。
今も自信なんて無い。でも、自分を信じて、ひとつずつ、壁を乗り越えることにチャレンジしょうとしている自分がいる。だからこそ、みんなにメッセージできる。「自分を信じてみようよ!」って。
大谷由里子おおたにゆりこ
(有)志縁塾 代表取締役
故横山やすしさんのマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし、一時は“伝説のマネージャー”として騒がれた大谷由里子氏。その後もベンチャー企業の社長やフリーのプロデューサーとし…
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