何度も何度も安全大会の講師としていろんな企業や協力会や場所に呼んでもらった。最初の頃は、「なんで、わたしが安全大会に呼ばれるのだろうか」と疑問だった。でも、担当者はみんな「たまには、明るい話が聴きたくて。だから大谷さんでいいよ」と、おっしゃってくださった。
でも、結構独特の雰囲気がある。ぶっちゃけ、笑いのある場所でもない。なんとなく苦手だった。でも、安全に対するこだわりは人一倍ある。理由は、事故の怖さを知っているから。
大学生の時、開業医だった父親の医院の従業員が事故の加害者になった。かなり多きな事故でニュース速報にもなった。しかも、仕事の途中だった。好意とはいえ、患者さんを載せていた。その中のひとりは亡くなった。母は他の患者さんも含めて、土下座して回った。精神誠意を尽くした結果、時間はかかったけれど、その事故は解決した。その父が、今度は医院に行く途中、道路に飛び出してきた子供を避けて電柱に激突。要介護5になった。そして、そのまま、ニ度と診察室に立つことなく亡くなった。
だからこそ、安全にこだわっている。加害者も被害者も作りたくない。もし、声がけひとつで事故が減るなら嬉しい。そう思って、安全とコミュニケーションについて語ってきた。気が付いたら、一時は「安全大会の女王」と言われるくらいに安全大会の講師に呼ばれた。
でも、やってもやっても、事故がどこかで起きている。そのたびに、
「わたしのやってきたことは意味があるのだろうか」
「本当に事故は減るのだろうか」
切なくなる。年明けから、大学生が乗ったスキーバスの事故があった。30年前にあった日本福祉大学の学生たちが乗ったスキーバスの事故を思い出した人もたくさんいたんじゃないだろうか。未来のある若者たちが事故に巻き込まれたことにやるせない思いになった。
だから、伝えたい。安全大会が安全大会のためにあってはいけない。その安全大会を通して、本気で安全を考える場所にして欲しい。そして、一件でも事故を減らして欲しい。そして、安全大会なんて必要ないくらいに安全で安心して暮らせる世の中になったら嬉しい。本気でそう思っている。
大谷由里子おおたにゆりこ
(有)志縁塾 代表取締役
故横山やすしさんのマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし、一時は“伝説のマネージャー”として騒がれた大谷由里子氏。その後もベンチャー企業の社長やフリーのプロデューサーとし…
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