大切な人やペットなどを亡くすことによって、喪失感から引きこもったり、病気になったりすることを「ロストシンドローム」と言う。その言葉は知っていたし、「ロストシンドローム」専門のカウンセラーの友人もいる。彼女は、夫を亡くしたことによって「ロストシンドローム」になったらしく、そんな人たちの気持ちが分かるからこそ、そんな人たちのためのカウンセラーになった。
つい最近、わたしは、とても大切な人を失った。それは、いつもわたしのことを応援してくれる経営者の女性だった。年齢は、わたしよりも20歳も年上だったけれど、明るくて気が若くて、いつも前向きなとってもステキな女性だった。そして、理屈無しにわたしのことを応援してくれていた。正直、自分の母親よりも彼女と会っていた。
「楽しいね」
「嬉しいね」
彼女から出てくるのは、そんな前向きな言葉ばかりで、会っているだけでお互い元気になった。それだけに、一緒に飲みに行ったり、ご飯を食べたり、旅行に行ったりと、仕事を超えた付き合いをしていた。そんな彼女がある日、突然逝ってしまった。
その日も彼女は、仲間と飲んで、食べて、楽しい時間を過ごしていたらしい。その後、カラオケに行って、居酒屋に行って、恋バナまでしていたらしい。そして、娘夫婦と孫と住む家に帰った。孫に譲ってもらって、先にお風呂に入って、そのまま帰らぬ人となった。彼女には、明日も明後日も数か月先も予定が入っていた。なのに、彼女のつぎの日の朝は来なかった。
彼女の通夜に行った。今にも起き上がりそうなくらい綺麗だった。どのくらい泣いただろう。だぶん、3年分は泣いた。それでも、彼女がこの世からいなくなったことを受け止められない。何をしていても思い出す。それどころか、ちょっと良い店などを見つけたら、「今度は、誘ってみよう」と、もういないはずの彼女がいないことを忘れて思い浮かぶ。
「なんで彼女が逝かなければならなかったのだろう」
「いったい、誰が順番を決めているのだろう」
そんなことを考えると、おかしくなりそうになる。
父も祖父母も見送った。なのに、こんなに悲しくて、やるせない気持ちにはならなかった。もちろん、寝込んでいたからかもしれない。ある程度、覚悟はできていた。けれど、彼女の場合は、あまりにもあっけなく、あまりにも突然だった。それだけに、もう会えないことがどうしても納得いかない。
「時が解決するしかないよ」
仲間は、そう言ってくれる。その日がいつ来るのか分からない。ただひとつだけ分かったことがある。というよりも、改めて思い知らされた。
わたしもいつどうなるか分からない。ちゃんと、覚悟して、1日、1日を大切に生きることが大切だと。
大谷由里子おおたにゆりこ
(有)志縁塾 代表取締役
故横山やすしさんのマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし、一時は“伝説のマネージャー”として騒がれた大谷由里子氏。その後もベンチャー企業の社長やフリーのプロデューサーとし…
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