基本的に片付けるのは苦手なわたし。
「多少、散らかっているほうが暮らしやすい」
と、開き直ってきた。でも、これも運命なのだろうか。
立て続けに2人、「整理収納アドバイザー」の講演台本を
作るお手伝いをすることになった。今まで、何人もの片付けや
整理収納を生業とする「講師の台本づくり」を手伝ってきたけれど2人を
同時期にということは無かった。
「物と向き合うことが大切」
「物には賞味期限がある」
「使ってないものは見捨てているのと同じ」
と、毎週そんな言葉を聞くハメになった。今までも
同じような言葉を引き出し、何度も聞いていた。今回は、週替わりで
2人の専門家から整理収納についてのコツが降り注ぐ。
まるでステレオのようにわたしの頭にガンガン響く。
極め付けはこの言葉だった。
「人は、平均すると、1人当たり1日1点のモノが増えると言われています。
ということは、1年で365点、10年で約4000点のモノが増えるん
です。ちなみにコンビニ一件分が3000点と言われています」
たぶん、我が家は、平均の2倍は、モノが増えている。夫婦で
普段から買い物は好き。服やお菓子、食べ物を買う。それだけでなく、
神社に行けばお札を買うし、地方に行くと焼き物やガラス製品を買う。
2人で平均の2倍買うと、一年でモノが1400点もモノが増えている
ことになる。
「ホテルや旅館が快適なのは、モノが最低限しかないからです」
この一言で目覚めた。
「とにかく、快適な空間を目指そう!」
1日10点のモノを捨ててみることにチャレンジ。捨てても捨てても
今のところ焼け石に水状態。10年間封印していた箱を開けてみる。
学生時代の写真なら可愛いけれど、酔っ払って取られた誰にも
見せられないような写真。思いっきり捨てた。
Tシャツにセーターにぜったい入らない服。
「痩せたら着る」
「パジャマになる」
そんなものも捨てた。
同じガイドブックも何冊も出てきた。快適空間にはまだまだ。
ところが、物と向かい合っているうちに、ひとつだけハッキリしたことが
あった。なにひとつ持って死ねないということ。
「なんで、こんなものを後生大事にしているのだろう・・」
そう思うと、惜しくないもはたくさんある。少なくとも、
「買いたい」
という気持ちが薄れてきた。そして、何が大切かを考えだした。
「夫に美味しいものを作ろう」
「2人で美味しいものを食べよう」
時間が愛おしくなってきた。当たり前だけれど見えないものの大切さを
感じるようになってくる。
当分、物と向かい合いながら、いろいろ考える自分になりそうで
楽しみになる。
大谷由里子おおたにゆりこ
(有)志縁塾 代表取締役
故横山やすしさんのマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし、一時は“伝説のマネージャー”として騒がれた大谷由里子氏。その後もベンチャー企業の社長やフリーのプロデューサーとし…
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