人が普段「無意識」でいることと、「意識」していることの割合はどちらが多いと思われますか?
実は無意識が97%~99%と、日常での多くの時間は無意識で過ごしていると言われています。話し方についても同様に、無意識のうちに自分の言葉が相手に喜んでもらえたり、あるいは逆に傷つけてしまっていることもあるかも知れません。
言葉づかいをよく聞いていると、その方の傾向が分かるものです。例えば「~しなくてはいけない」という言葉をよく使う方は、自分や人に厳しい方で、自分の中にルールをしっかり持っている人。または、「~したら~だろう」という少し曖昧な言葉を使いがちな人は、非常に慎重な方だったりと、言葉づかいにはその人の性格や傾向が表れると思います。
ですから、人によって響く言葉も違います。ある人には非常に響く言葉であっても、別の人には全く響かず、同調してもらえないということもあるでしょう。「言葉と行動は一致する」という考え方があります。相手の普段の言葉づかいから、その人に行動を促す言葉は何かを探ると、コミュニケーションもスムーズにいくと考えます。
例えば、言葉で「成果」「達成」「獲得する」という言葉を聞くと、やる気が起こるという人もいれば、その言葉には全く反応せず、「~を防ぐために」「~しないようにするために」という言葉を聞くと、やる気が起こるという人もいます。前者が「目的志向型」、後者が「問題回避型」とも判別されています。
また、同じ言葉でも人によっては硬く聞こえたり、柔らかく聞こえたりと、「声」の調子や話し方によっても、相手の受け止め方が変わることもあります。「声」の印象はその人のブランディングにも繋がる大事な要素の1つでもあります。「声」は言葉を乗せて伝えるためのクッションの役割でもあります。皆さんはご自分の声が相手にどのような印象をもたれているか、意識されたことはありますか?
自分がプレゼンテーションなど人前で話すときにボイスレコーダーで録音し、あとで聞いてみると、自分の声を客観的に捉えることができると思います。最初は「これ自分の声?」と感じるほど、違和感を覚えるかも知れませんが、実はその声こそが他人に聞こえている声の印象なのです。
私もアナウンサーの仕事を始めた頃は、自分の声を録音した際に、思っていたよりも高い声だと感じて、不思議な感覚でした。声は自分で発するときは、身体の器官を通して聞いている音なので、実際に相手に空気を通して伝わる声とは少し音が違うようです。ですから、録音などで確認して相手にどのように伝わっているかを客観的な視点で特徴を捉えることが大切です。
その主なチェックポイントとしては、「声の高さ」や「テンポ」、「言葉づかい」になります。ウィークポンは意識することによって、矯正されます。さらには、自分をどう相手に見せたいのかによって、声の調子もその場に応じて変えられるとより理想的です。アナウンサーは場に応じた声の出し方をかなり訓練しています。まずはテンポから変えてみると良いと思います。今まであまり意識せずに話していた声の調子や言葉づかいに意識を向けてみると、これまで気づかなかったことが見えてくるかも知れません。
さて、今回このような「声」の傾向や改善策について1冊の本にまとめました。『仕事ができる人は「声」が違う』(すばる舎リンケージ)です。テレビで活躍する芸能人やアスリート、アナウンサーの声を分析し、マトリクスなどを用いて、自分の声を知る方法などをご紹介しています。是非、参考にしていただければ幸いです。
牛窪万里子うしくぼまりこ
元NHKキャスター
大学卒業後は大手飲料メーカーに就職。話し方やコミュニケーションの大切さを実感し、本格的に勉強し始めたことをきっかけにNHKキャスターに転身。「おはよう日本」、「首都圏ネットワーク」等に出演し、これまで…
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