なぜコミュニケーションが大切なのか
「あなたは人とのコミュニケーションが得意ですか?」
こう尋ねられたら、皆さんならどう答えますか?
私は、講師として、年間平均180件ほどの研修・講演を行っています。企業を中心に、各種団体や学校や病院など様々な場所へお伺いして、課題となっているテーマにおいてその解決のヒントをお話ししています。
業種・業界によって、課題となるものは千差万別ですが、中でも共通して多いテーマが「コミュニケーション」です。こればかりは、立場や経験・知識だけで解決できることは少ないですし、人間の“感情”が大きく関わってくる部分なので、悩みの幅も深さも多岐に渡ります。
「仕事なのだから、必要最低限のやり取りさえできていればいい」
そうおっしゃる方もいらっしゃいますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
例えば、職場3大ストレスと言われているのは、「仕事の質」「仕事量」「人間関係」です。仕事の量や質が適切でも、人間関係の質が悪ければ、誤解やすれ違いが増え、大きなストレスを抱えることになるかもしれません。逆に、仕事が難しい上に量が多く、ハードルが高いものであったとしても、そこに気持ちの良い良好な人間関係があればどうでしょうか。支え合ったり助け合ったりする姿勢も自然に生まれやすくなり、受けるストレスも一時的かつ最小限で済むかもしれません。
さらに、より良い人間関係は、生み出す成果や結果の質にも影響を与えます。スムーズな意思疎通が図れていれば、物事の伝達や意思決定が早くなるだけでなく、怒りや苛立ちが少ない分、良い気分が行動を後押ししてくれることで、スピードアップにもつながります。
良いコミュニケーションは、職場活性やモチベーション向上はもちろん、より良い結果や成果をあげていくにおいても、大きな鍵を握っているのです。
ところが、冒頭にあげたような質問をしてみると、胸を張って「コミュニケーションが得意です」とおっしゃる方は驚くほど少ないものです。少なくとも私が研修・講演で聞いてきた限りはまだ一人も出会ったことがありません。
ハタから見ると十分コミュニケーション力を発揮して、良い関係を作っているように感じる方でも「私はまだまだです」とおっしゃるのです。相手が生身の人間である以上、そこに絶対的な正解などないですし、ゴールがないからとも言えます。
正解がない以上悩みはつきないのは確かですが、得意でないからこそ、私たち全員にとってコミュニケーション力についてしっかり考えることが必要不可欠なのではないでしょうか。
コミュニケーション力を高めるために必要なこと
ではいざコミュニケーション力を磨こうと思っても、いったい何からしたらいいのかわからないこともありますよね。そもそも“コミュニケーション力”とは何の力のことを言っているのかとても曖昧です。
大きく分ければ、「発信力(話す力)」と「受信力(聞く力)」であるとは言えます。とはいえ、具体性に欠ける分、やはり何の力なのかははっきりしません。
そうなると、とにかくスキルやテクニックを学び、それを身につけることでコミュニケーション力を高めようとする傾向がよく見られます。もちろんそれが間違っているわけでも無駄であるわけでもありませんが、実はそれだけではうまくいかないことも多いのです。
というのも、人が人に望んでいるのは、高度なスキルやテクニックより前に、“当たり前を当たり前にやる”ことだからです。例えば、普段から無愛想でニコリともしない人が、困ったときだけ頼ってきたとしても、すぐに気持ちよく手を貸そうという気にはなりにくいのではないでしょうか。また例えば、普段からこちらの話に全く耳を貸さない人が「私の話を聞いて」と言ってきたとしても、積極的に聞こうという気持ちにはなりにくいのではないでしょうか。
つまり、コミュニケーションの根底を支えているのは、とてもシンプルで当たり前の小さな意識や行動であるということです。
“正対(せいたい)”という言葉を聞いたことはありますか?正しく対するという文字通り、意味は相手にきちんと心と体を向けるということです。具体的には「おへそを相手に向けること」とされています。
これがコミュニケーションの基本とされていますが、普段からどのくらい意識できているでしょうか。つい端折ってしまうことも少なくないのではないでしょうか。例えば、PC作業中に話しかけられた時に、PCから目を離さずに相手の話を聞いたり、ついカラ返事をしたりしているようなことはないでしょうか。
多くが悪気なくされているものです。相手を傷つけようとか蔑ろにしようと思ってしているというよりも、“つい忙しくて”といったケースが多いのが事実です。けれども、悪気があろうがなかろうが、その態度や姿勢が、相手との心の距離感に影響を与えているのです。
せっかく話しかけても適当に聞かれていると感じたら、「もういいや」となりますよね。こちらをチラとも見ることなく、ただ反射的に頷いているような人に対して、信用や信頼は生まれにくいですよね。
コミュニケーションの土台を支えているのは、難しいテクニックではなく、当たり前に相手に向ける意識と姿勢なのです。その基本を改めて見直して姿勢を正すだけで、コミュニケーションの質が変わるのです。
人間関係は建てるもの
土台をしっかり固めないと、どんな良い技術やノウハウを持ってきても、積み上げていくことができません。家だって、建てる時はまず土台をしっかり作りますよね。そのうえで、いい資材やいい人材を使うことで、頑丈でしっかりとしたものが建っていきます。
コミュニケーションも同じことが言えます。人間関係も“構築”と言いますし、チームも“ビルディング”という言葉を使うのです。つまり、関係は積み重ねの上に建てていくものです。しっかりとした関係構築には、土台づくりが欠かせないのです。
その土台となるのが、“当たり前を大切にし、実行する”ということです。なんとなく端折っていたことをきちんとやるようにする、なんとなく忘れてしまっていたことを思い出して日々の生活に加える、それだけでコミュニケーション力は磨かれ、よいコミュニケーション環境が整っていきます。
次回から、その土台固めのためにぜひ実践しておきたい、発信と受信の“当たり前”について具体的にお伝えしていきます。小さな積み重ねを意識して、よい環境と関係を実現させていきましょう!
山本衣奈子やまもとえなこ
プレゼンテーション・プランナー
<ご本人からのメッセージ> 私は大学時代は演劇を専攻、在学中にイギリス・ロンドン大学のドラマ科に留学しました。演劇というと、ストイックな役作りや身体表現をイメージされることが多いのですが、演劇は総合…
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