■天才を集めるべきか
2:8の法則(パレートの法則)は誰もが一度は耳にしたことがあると思います。2割の人は「売れる営業マン」、8割の人は「売れない営業マン」。
しかし本当にそうなのでしょうか?多くの企業はこの考え方に基づいて、可能な限り「2割の天才営業マンを見つけよう」と努力をしています。できる営業マンを少しでも増やそうと、中途採用を繰り返し、天才を優遇するための人事制度や成功報酬を定めているのです。しかし、優秀な営業マンがそうそう集まるはずもなく、その努力は失敗に終わっているのです。
「いい営業マンはうちのような会社にはなかなか来てくれない」と、愚痴をこぼす経営者がどれほど多いことでしょう。本当に2:8の法則のとおり、センスのある営業マンをたくさん採用すれば、営業力は強化できるのでしょうか?大手証券会社のマネジメント研修で、次のような課題を出しディスカッションしたことがあります。その議題とは、「イチローだけで野球チームを作ったらどうなるか?」という課題です。一見ばかげた質問に思えるこの課題は、マネジメントに関し、重要な教訓を与えています。そのマネジメント研修で出た意見の幾つかを、そのまま掲載するので目を通してみてください。
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「強いチームはできない」
野球にはピッチャーがいて、野手がいて、
それぞれの役割がうまく機能しないと勝てないから
「全員同じだと、一人でやっているのと変わらない」
それぞれの選手の良さがいかされてこそ、良いチームができるのではないだろうか
「バランスが悪い」
個人ではなく組織で行うスポーツはチームのバランスが重要
「できる人ばかりだと、実力を発揮することはできないのではないか」
他の人に頼る意識も出やすいと思う
「監督もイチロー?」
では何回か勝ったとしても、
パターンが読まれてしまうので勝ち続けることはできない
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「役割」「バランス」「それぞれの選手の良さ」「選手の意識」という言葉に注目してください。当たり前のことですが、優秀な選手だけを集めても、「強いチーム」「勝てるチーム」を作ることはできないのです。2人は1人に勝り、個性を生かした総合力が、チームを形作るからです。
■センスではなく仕組み
営業も全く同じなのです。仮に、センスの良い天才営業マンばかりを集めたとしても、決して営業力を強化することはできません。2:8の法則を信じ「2割の天才」を集めようとしても成功しないのは、当然のことなのです。では、どのように考えればよいのでしょうか?ここで重要なのが「マネジメント」なのです。強い営業を作るためには、2:8の法則ではなく、2:6:2の法則として考える必要があります。
最初の2は、教えなくても売れる優秀な営業マン
次の6は、組織として、チームとして力を発揮できる人材
最後の2は、育てても、教えても売れない人材
(この場合その営業マンの意識と関係がある場合が多い)
営業力の強い会社とは2:6:2の6が強い企業のことなのです。つまり「組織として、チームとして力を発揮できる人材」を育て、活用している企業だけが強い営業力を持つことができるのです。それぞれの「役割」を持ってチームを構成し、「個性」をいかした、バランスの良い組織で行動できる企業こそ、営業力の強い企業なのです。人材を育て組織力で売るという観点で営業をとらえると、マネジメントがいかに重要かに気づかされるのではありませんか。
■育てる意識があるか?
人材育成が必要ないと考える経営者はいません。しかしほとんどの場合、人材育成に投入する時間とお金は後回しです。先立つものがあれば…という声を耳にしますが、そう言う経営者は先立つものがあっても人材育成はしません。
なぜならこれは価値観の問題だからです。経営者がどれだけ先を見る視点を持っているかにかかっているからです。本当に重要な事を見極めて、判断できる人であれば何をさておいても人を育てるのです。あなたの会社は本当の意味で人材育成に取り組んでいますか?
もしそうでないなら「辞める時は優秀な人材から辞めていってしまう」ことを覚悟しなければなりません。そうなる前に手を打ちたいものです。
横田雅俊よこたまさとし
株式会社カーナープロダクト 代表取締役
<ご本人からのメッセージ> こんにちは。株式会社カーナープロダクトの横田雅俊です。 営業に関係者した講演や研修・セミナーを全国で行なっております。 「利益に直結させる」をモットーに、一方的な…
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