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コラム 人権・福祉

2011年03月04日

やっぱ介護が好きやねん!

介護が与えてくれる贈り物

 初対面の人などに、私が介護分野のジャーナリストをしていると話すと、眉をしかめて「介護の業界は、重労働の割に賃金が安くて、なり手が少ないんでしょう」と言う人が、10人中7、8人くらいはいます。

 そんな言葉を聞くたびに、「またそれか」と重い気持ちになります。一般のみなさんの脳裏に、業界のこうしたイメージがインプットされているのは、介護にまつわる事件や自殺などのニュースや、これに関連してマスコミが流すネガティブな情報による影響が大きいでしょう。

 上記の言葉に反論すべく、「介護の魅力」とはなんだろうと、経験をふまえて自問しました。

 介護をすることで要介護者が元気になったり、感謝されたりといったことも大きな喜びです。けれど、私にとってのその最大の魅力は、「人のため」と思ってやっていることが、じつは「自分のため」であったと気づかせてくれたことです。

介護を受ける側の笑顔が見たければ、まず自分自身が笑顔をつくることが必要だと教わり、言葉が発せない場合でも、その人の表情や体の状態から声にならない言葉を聞くことができることを学び、ひとつのことを継続することの難しさと大切さを知ったのです。

 もちろん、自分を成長させてくれるのは、介護に限らず、多くの仕事についても共通していえることです。

 けれど、「生きること死ぬこと」「命の重さ」、「老い」や「自分の家族」そして「人と人の絆」について考える機会を与えてくれるのは、介護という仕事、介護という行為がもたらしてくれる贈り物なのではないでしょうか。

 20代から始めた介護は私を大きく成長させてくれました。

「キャリアアップ」でやりがいも見出せる

 先日、講義中に参加者から「介護職には、資格よりも優しさのほうが求められるのでは」との意見が出ました。たしかに家族には資格こそないにせよ、ヘルパー顔負けの介護をしている人もいます。

 しかし、以前取材した社会福祉学部の教授は「介護は個人に合ったケアを行うことが求められますが、個別ケアを考える『手がかり』として、生活者に関する共通性、一般論を学び、理解することが必要」と話していました。

 国は介護福祉士のさらに上のステップとして「認定介護福祉士」を創設する意向を示しています。この件の賛否両論はありますが、私はキャリアアップを目指す介護職が増えることは望ましいことだと感じています

現場でお会いしましょう!

 祖母の介護を終えて、早いもので3年目になります。この間、自分自身のこれからを模索しました。

 介護というテーマから離れることもしてみましたが、9年8カ月に渡る介護の経験は私にとってあまりにも大きく、さらに、全国をまわって多くのケアスタッフと利用者のみなさんに接するたびに、やはり私は介護の現場が好きだとつくづく感じたのです。

 現在、介護の仕事に関わっているみなさん、この業界の魅力を一緒に伝えていきましょう。
 これから、介護の現場で働こうかと迷っているあなた、ぜひチャレンジして、職場を盛り上げる担い手になってください。

 このコラムも最終回となりました。最後になりましたが、読み続けてくださった皆さんに感謝します。

 次はぜひ講演の会場で、はたまた現場で、お会いしましょう!

小山朝子

小山朝子

小山朝子こやまあさこ

介護ジャーナリスト/介護福祉士

9年8カ月にわたり洋画家の祖母を介護。その経験から全国各地で講演し、執筆活動や各メディアにコメントする。介護のノウハウや介護現場の「今」をわかりやすく伝えており、「当事者と専門家、ふたつの立場からの説…

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