戦場の最前線で出会う兵士たちの振る舞いが忘れられません。銃器で武装し防弾チョッキや強化ヘルメットで身を固める屈強な兵士たちは、戦闘や治安維持のため世界中の最前線に降り立っています。そこでは敵対する勢力との衝突はもちろん、破壊された街を復興する支援活動などその任務は広範囲に及びます。
従軍カメラマンとして兵士に張り付き、戦場での生活を共にしていると、兵士たちの人柄がにじみでる瞬間に触れることが何度もありました。特に最前線での任務を終えて、従軍部隊のキャンプ地に戻ると兵士たちは銃機器の弾倉を外し、防弾チョッキやヘルメットを置いて自分の簡易ベッドで横になります。脇に置かれた兵士用の強化プラスチックケースから自分のパソコンを取り出し刑事ドラマやラブロマンスのDVDを眠るまで見続ける。キャンプ地には軍事用のインターネットが設置されており、家族や恋人たちとネット電話を繋げ大切な時間を共有する。テレビゲームをしている兵士もたくさんいました。テント内での彼らの過ごし方はどの国でも見られる今時の若者たちの姿そのものでした。ゲームや映画、恋人の話、兵士同士がリラックスし、冗談を言い合ってお腹を抱えて笑い転げている。日本人である私に対しては日本へ旅行にいきたい相談を持ちかけたり、日本のアニメについての深話を聞きたがったり、若き兵士たちとのテントの時間はまるで旅行者同士のような雰囲気でありました。
兵士たちは約1年の任務を終えると祖国に戻っていきます。その後再び戦場に戻る兵士もいれば、兵士の任務から離れ別な仕事を選ぶ若者たちも少なくありません。生と死に向き合う極度の緊張に立たされる兵士たちは、自らの気持ちを整える方法を誰しもが探っているようでした。
いま現在も世界中で続いている戦争を見ていくと、戦闘に関わる国々が兵士の犠牲を軽減させる為に戦争戦術を変えてきています。その変化の筆頭にあげられるのがロボット兵器たち。危険な任務に人間を向き合わせるのではなく、人工知能を搭載したロボット攻撃機が戦場の舵取りを任せられています。本当は誰も戦争などしたくない、兵士たち自身がそう語っていました。戦争を一時的にでも止める為に世界規模の連携が求められています。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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