アフガニスタン南部カンダハール。ここはタリバーンと呼ばれるイスラム原理主義組織発祥の地。それゆえイスラム教の伝統にのっとった教育方針を続けている地域が多い。その一番の特徴は女性に教育を施す事を認めないこと。女の子たちが学校で勉強する事がゆるされない、自由に勉強できない、唯一許されるのは宗教学校での教育をうけることのみである。イスラム色の強いこの一帯では女性たちは自宅から気軽に外に出ることができず、外出するおりにはブルカと呼ばれる全身を覆ったベールを羽織らなければならない。
そんな厳しい戒律のあるカンダハールで、女子校が作られていた。女の子たちが自由に勉強できる環境が整いつつあった。教室にお邪魔すると、白いベールを羽織った女性たちが教室を埋め尽くしている。先生からの挨拶があると一斉に席を立ち挨拶を交わす。授業ではちょうど数学の授業を進めていた。教科書には日本の高校と変わらない数式問題が並び、女生徒たちは一つ一つ丁寧に答えを記していった。
一人の女子高生にお話を聞いた。「こうして友達と一緒に勉強できることは嬉しいです。高校を卒業したらエンジニアになりたいです。自分自身で物事を研究したり創造したりできる仕事につく事が夢でした。」ベールの間から覗かせる目は爛々とかがやき希望に満ちあふれている。女子校故に先生たちも女性ばかり、厳しくそしてやさしい先生たちがこの女子高校の為に愛情を注ぐ。
日本の女子校生には学校ごとに制服がある。アフガニスタンの制服には出身部族地域がちがっていても、みな真っ白なブルカを羽織る事が制服である。白い制服を着た生徒たちが砂塵の舞うカンダハールの道を歩いて通学する。
世界の女子高生事情はその国ごとによって、歴史、伝統、宗教、政治が確実に影響を与えていた。彼女たちの将来には夢がある。明確な目標に向かって女子高生たちは日々、勉学に励んでいた。彼女たちこそアフガニスタンの希望である。
渡部陽一わたなべよういち
戦場カメラマン
1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…
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