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2020年01月14日

イラン革命防衛隊ソレイマニ司令官殺害事件

 アメリカ軍によるイラン革命防衛隊ソレイマニ司令官の殺害事件。イランの最高指導者ハメネイ師は徹底報復攻撃を宣言。予告通りイラクにあるアメリカ空軍基地、さらに大使館への攻撃を続け戦争突入への激震が走りました。アメリカのトランプ大統領は戦争回避の道を選びながら、イランへの更なる経済制裁を課すことを発表。イランとアメリカの衝突が中東情勢を再び激変させる状況に陥っています。

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 中東一帯ではイスラム教シーア派三日月地帯と呼ばれるイラン、イラク、シリア、レバノンのシーア派連帯の存在力が増しています。特にシーア派の雄を自認するイランは、周辺国のシーア派組織を軍事支援していく立場を固めており、その実行部隊がイラン革命防衛隊内部のコッズ部隊であります。殺害されたソレイマニ司令官はこの対外工作活動を専門とする特殊部隊の指揮官として各国のシーア派武装組織を支えてきました。司令官としての約20年間、アメリカ軍への攻撃はもちろん、過激派組織イスラム国掃討作戦を展開。司令官としての実績は革命防衛隊の象徴として絶大な人気を誇った司令官であります。イラン国内では反米闘争を掲げる国民感情が高まり、革命防衛隊によるアメリカ軍施設への攻撃を賛辞。ソレイマニ司令官の殉死がイランの結束を強めています。

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 イランとアメリカ両国による戦争。この最悪のシナリオを回避するためにトランプ政権はもちろんイラン外相も開戦を望まない姿勢を公表しており、イランとの繋がりをもつ地域ごとのシーア派武装組織による単独の暴発を警戒する状況が続いています。政教一致をとるイランは、宗教指導者であるハメネイ師が大統領よりも上の立場にあります。このハメネイ師と革命防衛隊をホットラインで繋げていたのがソレイマニ司令官でありました。中東地域の軍事的な動きとイランの強硬姿勢を貫く宗教指導者層のバランスをとりながら暴走の歯止めとなってきたソレイマニ司令官の亡き後、イラン強硬派による反米感情の高まりがを国内世論を刺激することが想定されます。誰も望まない戦争のきっかけは偶発的な事象の重なりであると歴史は実証してきました。中東のさらなる混乱を回避する方法を世界規模で模索する日々が続いています。

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渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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